トップページ  >  移植基本情報  > 腎移植事典:移植後編

腎移植事典:移植後編

10. その他Q&A

移植した腎臓は何年くらいもちますか?

移植された腎臓の状況、また移植を受けた患者さんの状況などがさまざまであり正確な数字を算出することは困難です。

ただ、2007年に日本移植学会が出した統計では、移植腎の生着率(移植腎が機能して透析せずにいられる率)は1年94.2%、5年83.2%、10年67.4%とありました。概ね移植した患者さんの2人に1人は15年~20年はもっているということになります。

移植した腎臓は、どうしてだめになるのですか?

大きく分けて2つの原因が移植腎喪失の原因としてあげられます。

1つ目は慢性拒絶反応です。慢性拒絶反応はさらに、移植後早期におきた急性拒絶反応が抑えきれずに残ってしまっているタイプ、および、移植手術後数年経過した時点で移植した腎臓に対して免疫反応を起こしてしまっているタイプ、などがあります。最近になって、特に後者のタイプには患者さんの服薬が不充分で免疫抑制剤の濃度が低くなり拒絶を起こしている場合が少なくないことが判明しています。

2つ目は、再発性の腎炎や自己免疫疾患による移植腎機能低下があげられます。特にIgA腎症、FSGS、MPGNなどの腎炎やSLEなどは再発をきたしやすいことから注意が必要ですが、最近の治療の進歩によりかなり改善しつつあります。

その他にも、移植腎喪失の原因として、生活習慣病、感染症(尿路系)などがあります。また移植腎機能が良好なまま亡くなられる患者さんもいらっしゃいます。

死亡原因には心臓脳血管障害、悪性腫瘍、糖尿病の悪化などがあります。危険因子である、血圧、脂質異常症、肥満、などの管理はとても重要です。

腎臓病が再発した時にはどうしたらいいですか?

外来にて腎炎の再発を疑うときはほとんどが蛋白尿や血尿が出てくるときです。最終的に確定診断をつけるには移植腎生検が必要になります。 もっとも再発しやすい腎炎としてあげられるのはIgA腎症と巣状糸球体硬化症があります。

IgA腎症は扁桃腺摘出による改善例が報告されており、再発した際には扁桃腺摘出やステロイドパルス治療などが施されます。

巣状糸球体硬化症が再発した時にはまず血漿交換治療を行います。リツキシマブというリンパ腫の治療に使用する抗がん剤も有効性が多数報告されています。

いずれにしてもしっかりした確定診断を腎生検で付けて腎臓内科の先生の意見も聴きながら治療を進めていくことが重要です。

移植した腎臓がだめになったら再移植は可能ですか?

可能です。

2回移植までは両側の骨盤腔が空いていますが、3回目になると移植腎をおさめる骨盤腔が空いていないため移植された過去の腎臓をはずしてから新たな腎臓を同部位に移植することになります。

このような理由により複数回移植は数を重ねることに外科手技的な難易度は増してきます。

それよりも重要なのは免疫学的な難易度です。患者さんは過去に移植された腎臓によって免疫的に感作されてしまっていますから、同様なHLA抗原が再度移植によって入ってきた場合は強烈な拒絶反応を起こします。すなわち過去の移植した抗原と新たな移植抗原が一致している場合は移植が困難となります。通常2回目まではそれほどこのようなリスクはありませんが3回以上になりますと免疫学的にも難易度が高くなります。このような免疫反応を弱めてから移植を行うことを脱感作治療といいます。感作状態がそれほど強くなければ血漿交換などの方法で脱感作そして移植することも可能です。

腎移植前から漢方薬やサプリメントを飲んでいますが、移植後も継続して大丈夫でしょうか?

漢方薬やサプリメントを使ってみたい場合には主治医や薬剤師に相談してください。

特に免疫抑制剤、降圧剤、抗凝固剤を内服している腎移植患者さんは薬との相互作用が問題となります。たとえば、グレープフルーツは免疫抑制剤のみならず降圧剤や脂質異常に使用する薬剤の血中濃度を高める、セイヨウオトギリソウは免疫抑制剤の効果を弱める、ビタミンK含有のサプリメントは心筋梗塞などで用いるワルファリンの効果を悪くする、などはよく知られています。

提供:腎泌尿器疾患研究所

お気に入り記事に登録