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「生体腎ドナーの諸問題~適応、安全性から社会制度まで~」 腎移植・血管外科研究会報告【2】


2011/07/29

北海道大学 外科治療分野 腎泌尿器外科学 講師
森田 研 先生 


 2011年7月、北海道大学大学院医学研究科 腎泌尿器外科学分野(代表世話人:野々村克也)の主催で開催された「腎移植・血管外科研究会」の講演を、引き続き同大学院 森田研先生に解説いただきます。

6月24日(金)プログラム 教育セミナー(2)
生体腎ドナーの諸問題~適応、安全性から社会制度まで~【演者:岡本雅彦先生】

【解説】
 2004年にアムステルダムフォーラムという国際会議で、生体腎移植の提供者(ドナー)の健康を守るための国際規格が検討され、ガイドラインが明示されました。
 腎臓を提供したドナーが、提供後も腎機能や健康状態に支障が無く、生涯にわたって透析にならないように、条件が設定されました。
 献腎移植よりも生体腎移植の割合が多い日本では、このガイドラインを十分満たしたドナーが提供し、その後もきちんと腎機能や健康面でのチェックを受けていくことが理想的です。

 ではどのようなドナーが腎機能を害しやすいのでしょうか。岡本雅彦先生の施設の700余名のドナーの追跡結果によりますと、ドナーの提供後の生存期間や死亡原因は、一般の方々と比較して差は無かったのですが、寿命の延長に伴う成人病や生活習慣病の増加に伴って、今後も注意が必要で特に注意すべき合併症は、高血圧と糖尿病です。この二つがあると腎提供によってひとつになった腎臓に、高血圧や糖尿病の影響が加わって腎機能が悪化する危険があります。
 また、腎提供には医学的な損失(腎機能が提供前の60-70%に減ること)以外にも、入院や手術による経済的損失や病院費用以外の負担、などを考慮する必要があります。
 現時点で、ドナーになったことがあるからといって健康保険や生命保険に加入する条件が変わることは無いようですが、諸外国では、本来はドナーの加入条件が優遇されるべきであるとする意見もあります。

 腎臓を提供するための手術は献血のように簡単なものではありません。腎臓摘出手術にはある程度の合併症の危険性があることを認識すべきであります。
 世界のデータでは0.03%と非常に少ないながらもドナーの手術には生命の危険性があり、手術後の合併症として1%以下の出血や肺梗塞、再手術の危険性があります。

 提供後は高血圧や蛋白尿の出現に気をつけて、腎機能の検査などで毎年一回は通院を継続することが重要です。
糖尿病は最も危険な合併症であり、提供前にドナーに糖尿病があれば提供をやめることを考えるべきです。
提供後の妊娠、出産は、腎機能に負担をかけるため、できれば避けることが必要です。

 後述するドナー/レシピエントのメタボリック症候群対策でも示されるように、ドナーもレシピエントと同様に、メタボリック対策が必要です。


 解説・文責:北海道大学大学院医学研究科 森田 研 先生

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