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佐藤 滋先生 コラム

 移植後の管理には医療者によるものと、患者さん自身による管理があります。患者さん自身による管理には、服薬管理、体重・血圧・食事などの管理、睡眠不足や過労などを避ける生活習慣の管理などがあります。なかでも、移植患者さんにとって重要なことの一つは服薬管理です。
 薬剤を定められた時間に決められた量を、間違いなく、また怠ることなく、規則正しく服用し続けることを「服薬コンプライアス」といいます。コンプライアンス(compliance)とは、遵守・従順を意味する英語です。薬剤の服用法が正しく守られていることを「コンプライアンスが良好である」といい、守られないことを「ノンコンプライアンス」と表現します。
 「毎食後服用」という指示に対し、しばしば「食事を取らなかったので服用しなかった」という患者さんが移植患者さんに限らずいらっしゃいます。患者さんとしては服薬指示に従ったつもりでも、医療者側としては服薬を忘れないために「食後」としているだけで、実は空腹時服用するほうが薬剤の吸収がよい場合もあります。薬剤を服用すると、その有効成分は腸管から吸収され、血液中に入って薬剤効果を発揮し、多くは肝臓で代謝され薬剤効果が消失していきます。1日1回服用薬は約24時間、3回服用薬は約8時間有効であると理解しましょう。
 免疫抑制薬、特にネオーラルやプログラフ・グラセプタは最も強力な免疫抑制薬であるとともに、これ自体が腎毒性を有しています。
 実際、肝臓移植や骨髄移植などで、必要以上の量を長期に服用して腎不全になった方もいます。そのため、服用する直前の薬物血中濃度(トラフ値)を測定し、服用量の調整をしています。私達の施設では、この薬剤の重要性と服薬法を、移植前のみならず移植後も、医療スタッフが指導をする機会があります。
また、その薬剤の服用時間を9時21時に定めています。これは、外来通院後でも、受診の度にトラフ値を測定しているからです。このため、私達の施設ではノンコンプライアンスで移植腎機能を失った方は、ただ一人だけです。
 服薬管理を遵守するこつは、単純に指示されたとおりに服用するだけでなく、薬剤の効果と副作用、ノンコンプライアンスの末路を理解することだと思います。病気は医療者のものではなく、患者さんのものです。
今回は管理のよい患者さん紹介ではありませんが、服薬管理の重要性について記載しました。

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