「腎移植前後の患者さんが抱く基本的な疑問」について、KDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcome(国際腎臓病予後改善機構)) が作成した国際腎臓病ガイドラインの視点から東京女子医科大学の田邉一成先生にご解説頂く"患者さんの疑問”解決 シリーズ。

第3回目の今回は『移植後、免疫抑制剤としてもっとも重要なものは何ですか?』というご質問に対してご回答、ご解説頂きました。

【質問3】移植後、免疫抑制剤としてもっとも重要なものは何ですか?

【回答・解説】
現在、腎移植後の世界的にスタンダードな免疫抑制法はカリュシニューリン阻害剤、代謝拮抗剤、ステロイドの使用が行われています。特に、カリュシニューリン阻害剤と代謝拮抗剤の使用は、いろいろな研究からほぼ必須と考えられています。

■カルシニューリン阻害剤
タクロリムスが標準治療剤です。しかし、何らかの理由でタクロリムスが使用できない場合はシクロスポリンとなります。現在世界的にはタクロリムスが臓器移植のほぼ90%に使用されており、シクロスポリンの使用例は10%前後です。

■代謝拮抗剤
ミコフェノール酸モフェチルが世界的には標準治療剤です。しかし何らかの理由で使用できないときはアザチオプリンないしはミゾリビンを使用します。ミゾリビンは日本で開発された薬剤ですが、最近、使用量を従来の3倍近く使用するとミコフェノール酸モフェチルと同等の免疫抑制効果があることが示されつつあり、注目されています。

また最近ではエベロリムスも認可され使用することが可能となっています。

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