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後藤 憲彦先生 コラム

腎臓病治療には、KDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcome(国際腎臓病予後改善機構))というベルギーに本拠をおく非営利団体が作成した世界的な治療ガイドラインがあります。

2012年にもお届けした、KDIGOが作成した国際腎臓病ガイドラインの視点から、「腎移植前後の患者さんが抱く基本的な疑問」について専門医の先生にご回答頂くシリーズ。2013年は、名古屋第二赤十字病院の後藤憲彦先生に皆さんからの疑問に回答、解説していただきましたので、シリーズでお届けしていきます。

第1回目の今回は『移植後も糖尿病治療は必要なのでしょうか?また、移植後新たに糖尿病が発症することはあるのでしょうか?糖尿病にならない為にはどの様な対策をすればよいのでしょうか?』という質問に対して、回答、解説していただきました。


【質問1】移植後も糖尿病治療は必要なのでしょうか?また、移植後新たに糖尿病が発症することはあるのでしょうか?糖尿病にならない為にはどの様な対策をすればよいのでしょうか?

【回答・解説】

以前は、糖尿病を原疾患とする患者さんに対しては、腎移植をしないほうが良いという時代がありました。移植後に使用する免疫抑制剤により、糖尿病が悪化するためです。しかし、最近の免疫抑制剤の進歩による腎移植の成績の上昇からは、むしろ糖尿病を原疾患とする患者さんほど、血液透析や腹膜透析ではなく、腎移植を早くした方がよいと言われています。移植による尿毒症改善効果が、糖尿病悪化のデメリットを上回るからです。
糖尿病を原疾患とする患者さんが腎移植をされると、移植前はインスリンを使用していなかった方も、多くの場合インスリン注射が必要となります。免疫抑制剤は徐々に減量していきますので、インスリンが必要なくなって内服薬だけで血糖管理ができるようになる場合もありますが、そのまま引き続きインスリン注射が必要になる場合もあります。移植後の糖尿病のコントロールは長期生着率や患者生命予後に影響するので、きちんとした治療が必要です。

また、移植後新たに糖尿病を発症することがあり、その多くは術後1年以内です。治療ガイドラインでは、空腹時血糖値、経口ブドウ糖負荷試験、またはHbA1c値により早期診断、早期治療をすることが勧められています。術後3ヵ月間は特に免疫抑制剤使用量が多く、ステロイドによる食欲増進、腎不全食からの解放による摂取カロリー増加も加わって、体重増加しやすい時期です。運動や食理療法により体重を増やさないように努力することが大切です。




メディプレスの情報はあくまでも執筆時点での情報をもとにした専門医の一般的な意見です。それぞれの患者さんの状態や体調によって対応は大きく変わってきますのでご注意ください。ご自身の状況については、主治医や専門医の指示に従ってください。



腎移植:国際腎臓病ガイドラインに基づく ”患者さんの疑問” 解決 Vol.2 掲載予定内容(シリーズでお届けします) 

【質問1】移植後も糖尿病治療は必要なのでしょうか?また、移植後新たに糖尿病が発症することはあるのでしょうか?糖尿病にならない為にはどの様な対策をすればよいのでしょうか?

【質問2】移植後、血圧は毎日測定した方がいいのでしょうか?また、目標血圧はどれくらいでしょうか?

【質問3】移植後は、がんになりやすいのでしょうか?また、がんにならない為にはどうしたらよいでしょうか?

【質問4】腎移植後もリンの摂取を制限した方がよいのでしょうか?

【質問5】免疫抑制剤の副作用にはどの様なものがあるのでしょうか?また、副作用がおきた場合はどうすればいいのでしょうか?

【質問6】高尿酸血症を指摘されました。どのようなことに気を付ければよいでしょうか?

【質問7】小児移植の場合、免疫抑制剤により成長が阻害されることはないのでしょうか?

【質問8】移植後、いつ頃から妊娠してもよいのでしょうか?またその際、気を付けることはあるのでしょうか?(女性)

【質問9】移植後、子供が欲しい場合に気を付けることはありますか?(男性)

【質問10】移植後は太りやすいのでしょうか?また、運動をする場合はどのような運動がいいのでしょうか?

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