「腎移植前後の患者さんが抱く基本的な疑問」について、KDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcome(国際腎臓病予後改善機構)) が作成した国際腎臓病ガイドラインの視点から名古屋第二赤十字病院の後藤憲彦先生にご解説頂く"患者さんの疑問”解決 シリーズ第2弾。

第3回目の今回は『移植後は、がんになりやすいのでしょうか?また、がんにならない為にはどうしたらよいでしょうか?』というご質問に対してご回答、ご解説頂きました。

【質問3】 移植後は、がんになりやすいのでしょうか?また、がんにならない為にはどうしたらよいでしょうか?

【回答・解説】
移植後は、一般人に比べて悪性腫瘍になりやすいとされています。しかし、移植前の既往歴、家族歴、喫煙歴など、悪性腫瘍リスクには個人差があります。
ウイルス感染に伴うリンパ腫や皮膚癌は発症リスクが高いとされています。若干上昇するものとして、肺癌、結腸癌、子宮頚癌、胃癌、肝癌などがあります。乳癌、前立腺癌、直腸癌などは、一般人と比べても変わりないと言われています。
大切なことは、悪性腫瘍に対する術後検診を定期的に受けることです。また、悪性腫瘍と関連する生活習慣を改めることが必要です。たとえば、皮膚癌に関しては、紫外線照射によってリスクが高まるため、極端な日焼けを避けることが勧められています。喫煙は移植前にやめるべきでしょう。
ウイルスに関連する悪性腫瘍に関しては、ヒトパピロ-マウイルスワクチン接種による感染予防、C型肝炎ウイルスを取り除く治療、ウイルス量を定期的に調べて免疫抑制剤の調整を行うことなどがあります。

メディプレスの情報はあくまでも執筆時点での情報をもとにした専門医の一般的な意見です。それぞれの患者さんの状態や体調によって対応は大きく変わってきますのでご注意ください。ご自身の状況については、主治医や専門医の指示に従ってください。