トップページ  >  インタビュー  >  ドクターインタビュー  >  九州大学病院 臨床・腫瘍外科 腎疾患治療部 移植・血管グループチーフ 北田秀久先生

ドクターインタビュー


-----移植医療に対してのお考えを教えてください。

本来あるべきは献腎移植であると思っています。
しかし、献腎移植をうけるためには15年待たなければなりませんので現実的ではありません。現状では生体腎移植を安全に行う事が私達の使命であると考えています。

そして移植をする事によって患者さんが笑顔になれるという事を社会に伝える事が大切だと思っています。

生体腎移植は、ドナーさんの安全確保が絶対であることはもちろん、みなさんが元気になって頂くことが前提であるというある意味大変厳しい医療と思います。

----膵腎同時移植が行われていますが、膵臓移植について少し教えください。

日本における膵臓移植の適応は1型糖尿病の方ですが、1型糖尿病はいつ低血糖発作で倒れるか分からない、さまざまな合併症で命が脅かされる非常に深刻な病気です。

膵臓移植は簡単なことではありませんから、インスリンで血糖コントロールが良好で腎機能もいい状態であれは、インスリン投与で様子を見るべきだと思います。しかし、腎不全が進行すると、その予後はとても厳しいものとなりますので、膵臓と腎臓を同時に移植する方法が一番望ましいのではないかと思います。

-----膵臓移植の大変さを数字で表すとしたらどの様になるのでしょうか。

これは個人的な印象で一概に表現するのはなかなか難しいのですが、通常の腎臓移植を1とすると膵臓移植は10位でしょうか。手術の技術的にも、そして手術後の管理においても非常に負荷の大きい手術ですので日本で膵臓移植手術ができる所は少ないのが現状です。

私達は高い意識と誇りをもって膵臓移植手術に取り組んでいます。

-----今後の課題はありますか

移植は手術だけで完結する医療ではなく、手術後も大切です。

10年、20年と術後のフォローが出来る体制を確立していくこと、これも大事な課題です。

現在は術後のフォローを外科医がほとんど担当していますが、移植に詳しい内科医の先生が必要になると思います。もうひとつは質の高い移植外科医を増やす事です。

しかし昨今、外科を希望する医者が減っている傾向にあり、その中で更に移植外科医を希望する人は少ないのが現状です。

また、医学的な課題で言えば「臓器生着をいかに長く伸ばすか?」ですが、免疫抑制剤の進歩により拒絶はかなりコントロールできるようになり、移植成績は劇的によくなってきました。

九州大学での5年生着率は94~95%ですが、我々は限りなく100%に近づけたいと思っています。

-----今後期待される夢の移植医療に対してはどう思われますか。

トレランス(免疫抑制剤のいらない移植)や臓器の再生はもちろん理想的ですが、そう簡単には実現しないと思っています。

近い将来のより現実的な夢としては、移植医療が正しく理解され当たり前の医療として定着することです。そしてより安全な移植が行えるようにすること、できれば生体移植ではない移植が日常医療として行われるようになるのが私の夢というよりも希望、そして使命だと思っています。


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