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MediPress編集部 コラム

  • チーム医療の「要」レシピエント移植コーディネーターの仕事とは

◆はじめに

 移植コーディネーターには、その役割から「ドナーコーディネーター」と「レシピエントコーディネーター」があります。(図1)


↑(図1)クリックすると大きい画像が出ます

 ドナーコーディネーターは、ドナーからの臓器提供の調整や臓器移植に関する啓蒙活動を行う役割を担っており、社団法人「日本臓器移植ネットワーク」に所属する約20名と、同ネットワークから委託された都道府県コーディネーター約50名からなっています。
 一方、レシピエント移植コーディネーターは臓器の移植を待つレシピエント(患者さん)やその家族のケアを担当しており、移植手術を行なう病院に所属しています。
 レシピエント移植コーディネーターは、移植前のレシピエントやその家族への移植についての説明や、情報提供、移植に関する相談、登録の手配などを行い、精神的・身体的にも不安の多い待機期間中の体調管理や、移植準備への支援をしています。そして移植が決定したら、移植手術時の各種手配、レシピエントの退院後の健康・生活指導などを行います。チーム医療に関わる多くのスタッフの調整役として、患者さんと接する機会が多く、患者さんや家族の気持ちが分かる看護師が、主にその役割を担っています。



◆レシピエント移植コーディネーターとは(北里大学病院)


↑(左)池田さん、(右)野口さん

 移植医療における移植コーディネーターの存在は非常に重要です。以前MediPressでご紹介をさせて頂いた、腎移植とチーム医療、チームワークの稔り・腎移植 の中で、北里大学医学部泌尿器科の吉田一成先生も「移植コーディネーターは、チーム医療の「要」となっている」とお話されています。
 チーム医療の「要」として積極的な取り組みをされている北里大学病院の認定レシピエント移植コーディネーター(以下RTC)、池田成江さん、野口文乃さんに、その活動についてお聞きしました。


 北里大学病院には「移植医療支援室」が2006年より設置されており、移植医療に携わるスタッフ間の情報共有や連携強化が行われ、生体ドナー、レシピエントの双方に関わる立場の医療者が協働し、移植医療に関わる様々な課題について共に取り組む体制が出来ています。
 北里大学病院では、RTCは院内でのレシピエント移植コーディネーターとしての活動 だけでなく、移植に関する市民への啓発活動 や、神奈川県下の移植施設と協働して移植医療の質を高めていく活動 を積極的に行っていらっしゃいます。以下にそれぞれの活動についてご紹介します。


【1】院内でのレシピエント移植コーディネーターとしての活動

 (図1)移植コーディネーターの仕事 にもあるように、RTCの仕事には様々なものがあります。


↑(図2)クリックすると大きい画像が出ます

 北里大学病院における、院内でのRTCの活動としては、臓器移植を希望される患者さんとご家族への情報提供から、移植後の日常生活における援助までの一貫したサポートを行っています。(図2)



↑(図3)クリックすると大きい画像が出ます

 移植後長期フォローアップ期の業務内容にもあるように、北里大学病院では移植後の外来でもRTCが面談を実施して移植後のフォローを行っており、主に移植腎機能、生活指導、精神的な支え、の3点に重点を置いて様々なフォローを行っています。(図3)



【2】移植に関する啓発活動

 以前MediPressでも北里大学病院吉田一成先生のドクターインタビューにてご紹介させて頂きましたが、北里大学病院では、移植に関する啓発活動も積極的に行っています。毎年4月に「相模原市民桜まつり」で臓器提供意思表示カードを配布したり、毎年10月には「腎移植懇談会」が行われています。「腎移植懇談会」は1999年から実施されており、腎移植患者さんやこれから移植を受ける待機患者さんの最新の情報共有の場として、透析施設のスタッフや一般市民の方も参加されています。
 2012年10月21日(日)の「第14回腎移植懇談会」では初めての試みとして、市民公開講座が開催されました。



桜祭りでの活動の様子

腎移植懇談会の様子

腎移植懇談会の様子


【3】神奈川県下の移植施設と協働して移植医療の質を高めていく活動

 北里大学病院では、病院内の取組だけではなく、神奈川県下の移植施設との連携も積極的に行っています。
 複数の救急病院と移植施設の医療従事者が集まり、臓器提供と移植の問題点を理解しあい、勉強する場として2008年から「臓器提供・移植を考える神奈川の会」が発足しています。この会では、一般市民の方向けの市民公開講座も行われています。昨年(2012年)も10月27日(日)に開催されました。


市民公開講座の様子

市民公開講座の様子



 また、2008年からは、医療従事者が腎移植における広範囲な見識と腎不全看護の専門性を深め、相互の連携や情報共有を行い移植医療の質を高めていくために、「神奈川レシピエントコーディネーター連絡会」が立ちあげられました。神奈川レシピエントコーディネーター連絡会には、神奈川県内の腎移植5施設のRTC、病棟・外来・透析看護師・薬剤師などのコメディカルの方々が参加されています。2011年からは腎代替療法勉強会も企画し、神奈川県内の透析施設の透析医、看護師、臨床工学技士など、その参加者は腎移植だけではなく腎代替療法に関わる医療スタッフに広がっています。
 昨年(2012年)は10月5日に第9回神奈川レシピエントコーディネーター連絡会が開催され、腎移植医療側からは臓器提供について、透析医療側からは長時間透析について、お二人の先生のご講演による腎代替療法の勉強会が開かれました。
 2008年当初は20人であった参加者も2012年には67人と年々増加傾向にあり、2011年からの腎代替療法勉強会からは透析医療施設からの参加者が加わり、相互の施設情報の交換から発展して、自主的な勉強会に繋がっているとのことです。この勉強会は2ヶ月に1度、移植のことだけでなく腎不全患者さんの為に必要な基礎知識を深めたり、現場の経験や実際の患者さんとのやり取りなどの情報を得たり、参加者がディスカッションをして、次の日から現場で使えるノウハウを学べるようにしています。



腎代替療法勉強会の資料 抜粋(1)

腎代替療法勉強会の資料 抜粋(2)

腎代替療法勉強会の資料 抜粋(3)


 

 このように、RTCの役割は、意思確認の支援、連絡・調整、継続的なケア、教育、研究、普及啓発など多岐に渡ります。腎移植・腎不全看護の専門的な知識と技術、部署に関わらず横断的に関わる連絡・調整力が必要になってくるのです。


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