熊本赤十字病院 レシピエントインタビュー第1回目は、約3年半前にご主人がドナーとなり、生体腎移植を受けた山下静代さんです。
山下さんは長年高血圧で通院していましたが、突然透析が必要な状態となり、かかりつけ医のアドバイスや優しいご主人の後押しによって、厳しい状況がありながらも生体腎移植を受けられました。
移植後、自己管理を徹底しながら、趣味の旅行やガーデニング、お孫さんの世話などに忙しく充実した毎日を送っていらっしゃる山下さんから、さまざまなお話をお聞きしました。

山下さんが移植を受けるまでの経緯

  • 2000~2014年(50~64歳頃) 高血圧のため通院
  • 2014年(64歳) 腎不全治療のため入院
  • 2015年(65歳) 生体腎移植手術

不思議な巡り合わせ

腎機能の悪化を指摘されるまでは、どのような状態だったのですか。

山下さん

山下さん(レシピエント)
もともと血圧が高めだったので、50歳くらいから12~3年、定期的にかかりつけ医に診ていただきながら、降圧薬を服用していました。移植手術の前年、64歳の時に、血圧とクレアチニン値が上がってきてしまい、かかりつけ医から一度きちんと検査を受けるように言われました。それまでは、塩分を控えめにと言われたり、腎機能について指摘されたりはしていましたが、腎不全の症状はありませんでしたので、こんなに腎臓が悪くなっているとは思いもしませんでした。
検査を受けた病院には結果的に10日間くらい入院したのですが、そこで透析導入が必要な状態だと言われました。

その後、どのようにして移植という治療法を知ったのですか。

山下さん
一旦退院した後、かかりつけ医に透析導入の話をしたところ、先生から、「もし腎移植ができるなら、透析を受けるより良いと思いますよ。夫婦間でも移植できるらしいので、山下さんのご主人がお元気なら、熊本赤十字病院で相談してみたらどうですか?」と言われたのです。先生は、少し前に偶然腎移植の講演を聴き、夫婦間でも移植が出来ることを知ったそうです。
当時私は透析の知識はありませんでしたし、ましてや腎移植のことも全く知らなかったので、もしその時に先生からお話を聞いていなければ、移植していなかったかもしれません。

かかりつけ医のアドバイスを聞き、ご主人にはどのようなお話をされたのですか。

山下さん
家に帰り、ストレートに、「腎臓は2つあるので、1つ頂戴!」と言いました。主人はすぐに、「いいよ!」と言ってくれました。

その後、熊本赤十字病院を受診したのは、移植手術のどのくらい前でしたか。

山下さん
手術の3カ月くらい前だったと思います。そこで川端先生に初めてお会いしました。先生からは、当時の私の腎機能や、腎移植と透析のメリット・デメリット、検査や手術に関する説明をお聞きしました。

どのようなお話が印象に残っていますか。

山下さん
透析は週何回か通院しなければならないが、腎移植は、手術は大変だけれど、移植後腎機能が安定すれば通院回数は少なくて済む、というお話が印象的でした。通院時間に拘束されることなく、行きたいときにいろいろなところに旅行したいと思っていたので、主人と話し合い、「それであれば移植の方がいいね」という話になりました。

川端先生は、腎代替療法の説明を聞きにこられた方に、どのようなお話をされるのですか。

川端先生
基本的にはすべての療法(腎移植、血液透析、腹膜透析)について情報提供を行いますが、例えば、腎移植の話をメインに聞きたいという場合には、腎移植に重点を置いてお話しするなど、患者さんのニーズに合わせて話す割合を変えています。患者さんがご自身の生活の中で何を大事にされているのかをお聞きし、それに合った代替療法選択のプランを提案します。
説明は2~3回に分け、期間を空けて行っています。患者さんが説明を聞いて一旦持ち帰り、ご家族などとじっくり話し合って、腎移植をしたいということになれば、移植に向けての検査を開始します。