イギリスで漠然と知った腎移植

腎移植に関しては、いつ知ったのでしょうか?

今野さん

今野さん
初めて腎移植を知ったのは、イギリスで入院をしていた時でした。生体腎移植手術を受けた親子と同室でしたので、術前、術後の様子を目の当たりにして漠然と移植を知りました。
ただ、たまたまその方の状態があまり良くなったからでしょうか、手術後、3,4日とずっと寝たきりで、瀕死の状態のように見え、尿も真っ赤な状況でしたので、移植の印象はあまり良くありませんでした。
私を心配して私の両親と夫がイギリスに来ていたのですが、両親や夫もその親子の状態を見ていた為、移植に対する印象はあまり良くなかったようです。

原田先生
イギリスは移植環境も良いはずなので、たまたまその人があまり良くない状態だったのかもしれないですね。

その後、すぐに帰国出来たのでしょうか?

今野さん
入院当初にイギリスの病院の先生からは、「受け入れ先の病院が決まらないと退院させることは出来ない」ということと、受け入れ先の病院が決まっても、「救急車で移動し、医師と看護師付きで、飛行機もビジネスクラスでないと帰国させることは出来ない」と言われていました。
しかし、その後だんだん状態が良くなり元気になったため、救急車での移動や医師、看護師の付き添いも必要が無くなり、飛行機もエコノミークラスで帰国をする事が出来ました。帰国後、空港から市立札幌病院まで直行し、その翌日から入院となりました。

腎不全の原因は何だったのでしょうか?

今野さん
イギリスで腎生検を行った際には、「恐らく小さい頃に何かに感染し、その後ゆっくりと病状が進行したのではないか」と言われました。原因ははっきりとは分からなかったです。

突然の透析導入から生体腎移植手術へ

その後、すぐに移植を考えたのでしょうか?

今野さん
透析治療を始めたばかりの頃は、透析でとても体が楽になり、透析自体も苦痛ではなく、このまま透析をしながら生活していけると思っていましたので、最初から移植をしようという気持ちではありませんでした。

その後何故移植をしようという気持ちになったのでしょうか?

今野さん
市立札幌病院は、腎臓内科と腎臓移植外科の連携もよかったため、腎臓内科の先生の勧めで、腎臓移植外科の先生のお話を聞き、メリットやデメリット、費用などを丁寧に説明して頂き、「移植も検討してみたらどうか」と言われました。
腎臓内科の先生は、私が初めて移植のお話を聞いたときに、あまり移植に対して前向きに考えていなかったため、「もう一度話を聞いてきたら?」と再度勧めてくれました。そして再度移植外科の先生とお話をして、納得したと記憶しています。
内科や外科の先生からのお話によって少しずつ気持ちが変わっていき、母親が「いいよ、予約しておいで」と言ってくれたため、移植をする事になりました。

移植手術が決まってから、実際の手術までの期間はどのくらいでしたか?

今野さん
移植手術までは5ヶ月間ありました。

原田先生
当時、当院の移植手術は月2件くらいのペースでしたね。現在は月に4件くらいの手術を行っています。現在の当院の移植までの待機期間は平均5~6ヶ月くらいです。

今野さん
突然の透析導入から移植手術へと、私の周りで目まぐるしく状況が変わっていきました。最初に移植の話を聞いた時には、まだ透析が辛くない状況でしたので、透析で生活していけると思っていましたが、移植前の透析開始後5カ月程度経った頃は透析が足りなかったのか、非常に疲れ、辛くてしょうがない毎日でした。
また、透析を続ける事で肌の色がだんだん黒くなっていくのを見るのは、女性としてはとても辛かったです。

手術後の経過は順調でしたか?

今野さん
とても順調でした。
ドナーとなってくれた母親も順調で、母親は先生から「早く退院した方がいいよ」と言われていたようです(笑)。