移植後の日常生活では、移植腎の為に特にどの様な事に気を付けて生活をしていますか?

島谷さん
基本的には退院時の注意事項を厳守しています。主に、水分最低1500ml以上(自主目標平均2000ml)の摂取、柑橘類の制限、スポーツドリンクの制限、サプリメント禁飲、カビ注意、チーズ摂取注意、風邪を引かないようにする(人混みでマスク使用)等です。

とても厳しく自己管理をしていらっしゃるのですね。

島谷さん
私は自分に甘く、少しでも食べてしまえば、気持ちの緩みからどんどん食べてしまう性格なので(笑)、透析時代と同じくらいに厳しく自己管理する方がいいと思っています。

日常の服薬や、血圧、体重等の記録はどの様な方法で行っていらっしゃいますか?

島谷さん
服薬に関しては特別な方法はありませんが、ホームセンター等で売っているプラスチックの工具入れ(ネジ等の小物入れ)を応用して薬を分けて種類を見易くし、自己管理しています。毎日、早朝・朝・昼・夕・寝る前に夫々服薬していますが、透析時代からの習慣化からか飲み忘れは殆どありません。
血圧測定は、移植直後は、移植前同様、1日3回以上(朝・昼・晩)は計測していましたが、変化が少ないので徐々に回数が減り、計測自体を忘れてしまう日も出てくるようになってしまいましたので、最近は反省して再び1日1回以上は計測するようにしています。
体重に関しては、透析時代の癖が残り、トイレの前後や食事前後や入浴前後など、事あるごとに測定しています。

移植後、新たに始めた事や、今後の夢はありますか?

島谷さん
現在は両親の介護中心の生活ですが、家庭菜園と時間に余裕の有るときは、市内の公園・施設などを妻と散策しながら季節を感じるのが楽しみです。
以前は、横浜在住の子供の所や沖縄などへの夫婦旅行が楽しみでしたので、今後も時間的なチャンスがあれば出掛けたいと思っています。

メッセージ

現在移植を待っている方にメッセージを頂けますか?

島谷さん
とにかく前を向いて生活して欲しいと思います。チャンスは必ずあるので、諦めないで欲しいです。過剰な期待をするのもだめですが、きちんと透析を受ける、服薬をする、食生活に気を付けるなど、自己管理をしっかりと行っていれば、必ずチャンスはあると思います。
また、透析をしている時はどちらかというと、後ろ向きになってしまって、あえて勉強をしなくなってしまう事もあるかと思うのですが、移植に関しての最低限の知識は持っていた方がいいと思います。確かに専門用語などが多いですが、インターネットで検索するなり、講習会に行くなり、積極的に学んだ方がいいと思います。
私が透析を受けていた時には、透析施設に透析食のチラシはたくさんありましたが、移植の情報はありませんでした。当時本屋にも患者さんが読めるような移植に関する本は無かったですね。
本屋や透析クリニックに、腎臓病の為の食事の本と一緒に移植に関する本が置いてあれば、患者さんの知識レベルもだいぶ変わってくると思います。

原田先生
島谷さんももう少し移植に関する知識をお持ちであれば、生体腎移植も可能だったかもしれませんね。

島谷さん
2000年以降は新たな免疫抑制剤も出て、夫婦間の移植も可能だった事を、後から知りました。妻とも、「夫婦間腎移植が出来たのかもしれないね」という話もしていました。

原田先生からもメッセージを頂けますか?

原田先生
医療は日々進歩していますので、一度駄目だと言われても、諦めず、常に最先端の情報を仕入れる事と、1人ではなく、複数の人から話を聞くことが大事ですね。
また、献腎登録をしたら、いつ移植の機会が訪れても大丈夫なように、体調管理をきちんとしておくことが大切です。
島谷さんのように、自己管理をきちんと行い前向きに生活していれば、チャンスは巡ってくると思います。