夫婦間移植の体験をもとに

先ほど伺った趣味の他にも移植後、新たに始めた事はありますか?

駒形さん
北里大学病院の腎移植患者会「なごみの会」のお手伝いをしています。 北里腎移植患者会は「サロンDEなごみ」と言うサロンを毎月第二日曜日に病院のレストランの一角で開いており、そこで現在腎移植を待機している患者さんや腎移植について悩みをお持ちの方々の相談に乗ったり、会員の方が遊びに来て近況の報告などしてくれたりしています。 年に何組かのご夫婦や移植患者の皆さんからの腎臓移植に関する不安や質問を受けて話し合いをしています。 私達の体験談を聞いて皆さん参考になったとか不安が解消されたと喜んで帰られています。 今年は2月に日本臨床腎移植学会の公開講座でも話をする機会を得まして、北里腎移植患者会の紹介やパネルデスカッションにも参加しました。
また、私が以前関係していました軽金属製品協会の技術アドバイサーをしており、業界の為に若手の育成とJIS改定等の手伝いをしています。

先生、夫婦間の移植は増えているのでしょうか?

吉田先生
現在は、これまで最も多かった親子間移植と同じくらいの割合になりましたね。

夫婦間の移植はどの様な点が良いのでしょうか?

吉田先生
夫婦間移植をされるようなご夫婦は、運命共同体となっているご夫婦がほとんどですので、透析に惑わされないで老後を暮らしたいという目的が一致している点が良い点ですね。
また、夫婦間ですので、組織適合の面ではミスマッチが多いですが、親子間の移植と異なり、レシピエントとドナーの年齢が同じくらいなので、腎機能も同年代と同じくらいあるという点も良い点ですね。

移植を検討されている方へのメッセージ

先生、夫婦で移植を検討されている方へのメッセージを頂けますか?

吉田先生
夫婦間での移植を検討されている方は、よくご夫婦で話し合われることと、お子さんともよく話し合ってほしいと思います。 また、お互いの親戚などからの色々なご意見がありますので、ご親戚の方ともよくお話をされることが重要だと思います。
当院でも夫婦間移植の場合は、出来る限り両方のご親戚の方々にも病院に来て頂き、よく話をし、それぞれの方が納得して移植手術に進めるようにしています。

駒形さんからも夫婦間移植を考えている方へのアドバイスを頂けますか?

駒形さん
夫婦間移植を検討されているご夫婦は、先ほど先生もおっしゃったように運命共同体だと思います。 一生添い遂げようとされるご夫婦であれば、どんな時にもお互いをカバーしあって幸せに生活して欲しいと思いますね。

最後に、移植を考えていらっしゃる方へのメッセージをお願いします。

駒形さん
私は一生の最終章の時期に、人生で一番のプレゼントを妻から貰いました。50歳くらいまでは仕事などをがむしゃらに頑張ってきましたが、病気になり、自分の意図しない人生になりそうだと思っていた時に、移植によって救われたのです。
私は今年で70歳ですが、余命は普通に考えて10~20年位の年月を見積もっています。 その間をどうしたら有意義に過ごせるかを考え、この人生の最後を妻と妻の腎臓を大事にしながらエンディングを迎えたいと思っています。
大袈裟な事と言われるかもしれませんが、私と同じ体験をされた方には解って頂けるものと思います。
今腎移植を考えておられる方々や腎移植を待機されている方々に申し上げます。
一刻も早くその機会が皆様方に訪れます様にお祈りしております。