そして父親になって

移植後、新たに始めたことはありますか?

高田さん
新たに始めた事は無いのですが、大きな生活の変化としては、2008年に結婚しました。現在は2人の子供(3歳、1歳半)に恵まれ、家族4人で賑やかな生活を送っています。家族で旅行をしたり、子供とキャッチボールをしたりと、父が私達にしてくれた事を、今度は私が子供たちにしてあげたいなと思います。
また、昨年より仕事で海外に行く機会が出てきました。移植前では考えられない事です。これをきっかけに、時間を見つけて英語の勉強をしています。今は、英語の勉強をしっかりして、仕事や旅行でどんどん海外に出ていくことが私の夢になっています。

結婚式にて奥様と 父、弟、子供と一緒に 第2子の初宮参りにて 家族4人、自宅にて

海外は主にどこに行かれることが多いのですか?

高田さん
アジアがメインですね。会社ではアジア担当大臣と言われていています(笑)。
暑さにやられて脱水にならないように常に2.5~3Lくらいの水を持って行っています。

現在、移植手術を控えている、または移植手術を検討している方へメッセージを頂けますか?

高田さん
手術をするに当たり、誰しも何かしらの不安はお持ちだと思います。もちろん私にもありました。
とにかく私が言える事は、血液透析中の生活と移植後の生活では、天と地ほどの差があるということです。特に私は血液透析がしんどかったので、移植後はその様な状態から解放され、やりたいことが出来るようになりました。移植後は、体は軽い、ご飯は美味しい、運動もやりたいだけ出来る、家族や友達とも時間の制約なしに食事をしに行ったり、遊びに出掛けられたり、と良い事ばかりです。
いろいろ考えてみても、私自身の中では移植前の方が良かった事は一つも見つかりません。移植できるチャンスがあるならば、是非手術を受けてください。その先にはきっと今よりも素晴らしい未来が待っていると思います。
また、私自身、姫路に住んでいたために情報が少なく、移植を受けるのが遅くなったということもありますので、今後、機会があるごとに移植に関する情報を広めていければと思っています。

高田さんスナップ写真

姫路における移植医療の始まり

市川先生はその様な(兵庫県西部の)状況も踏まえ、姫路にいらしたのですよね。

市川先生
はい、今年の4月より姫路に拠点を置き、移植医療の啓発と、移植前の患者さんの相談、そして移植後の患者さんのフォローを行える体制を作りました。手術だけは西宮病院などに行ってもらうので、移植医療のサービスセンターのような位置づけです。これからいろいろと活動範囲を広げていきたいと思っています。

ここ城陽江尻病院では現在移植後の患者さんは何人くらいいらっしゃるのですか?

市川先生
現在移植後の患者さんは40人くらいいらっしゃいます。別の病院で移植を受けられた方も、当院で移植後のフォローが出来るということを是非知って頂きたいですね。

高田さん
私も県立西宮病院に移植後の通院をしていた頃は、片道で2時間~2時間半かかりましたので、会社も休まなければならず大変でした。
現在は市川先生が城陽江尻病院に来てくださり診察して頂けるようになりましたので、通院も楽になりました。また、土曜日にも診察をして頂けるので、会社を休むこともなくなりました。

移植コーディネーターの方の患者さんとの面談も始まっているのですか?

田中さん(移植コーディネーター)
まだ本格的には始まってはいないのですが、今年から始めています。 姫路市では、移植医療は進んでおらず、医師が腎不全の治療を説明する際、ほとんどの場合、血液透析か腹膜透析しか選択肢を提示してきませんでした。多くの患者さんが血液透析を選び、元気で自己管理出来る方だけが腹膜透析を選んできたという状況があります。
これからは腎不全治療の選択肢として、腎移植のことも血液透析や腹膜透析と同じように平等に説明して頂き、市川先生に紹介を頂いて、私たち移植コーディネーターが腎移植について良い点、悪い点をきちんと説明出来ればと思っています。市川先生が姫路に来て頂いたことで、姫路における移植医療が始まればと思っています。

高田さん お父様 市川先生 田中さん