夢を叶えて

移植後、ドナーである叔父様に対しては何か特別にイベント等は行っていますか。また、今後何かしたいと思っていることはありますか。

結婚式にて叔父様と

山田さん
特別に何かをしているわけではありませんが、叔父の誕生日と移植手術を受けた日が近いので、毎年プレゼントを贈っています。一番初めのプレゼントは、私の結婚式が控えていたので、式で使ってもらおうと思い、冠婚葬祭用のハンカチと靴下を贈りました。その後は、叔父が好きな果物などを贈っています。叔父や叔父の家族に何かあったときには、私たちにできるだけのことはしたいと思っています。

移植をしてから一番良かったこと、うれしかったことはどのようなことですか。

山田さん
透析導入前からお付き合いをしていた方と、移植をした年に入籍し、翌年に結婚式を挙げ、そのまた翌年に娘を出産したことです。「結婚して子どもが産みたい」という小さいころからの夢が現実になりました。

移植後の日常生活では、移植腎のために特にどのようなことに気を付けて生活をしていますか。

山田さん
移植前ほど厳しく制限はしていませんが、塩分には気を付けています。また、外出から帰ったら、手洗いとうがい薬でのうがいを欠かさずするようにしています。主人もやっていますし、娘も今、うがいの特訓中です。あとは、とにかく風邪を引かないように、できるだけマスクをするようにしています。娘が生まれてからは、娘から風邪をもらうことも増えたので、今年からは2人でマスクをすることにしています。


かわいいお子さんに恵まれました


移植後、新たに始めたことや、今後の夢はありますか。

大切な家族と一緒に

山田さん
新たに始まったことと言えば、子育てですね。必然的に体もよく動かすようになり、規則正しい生活になっています。今後は、できればもう1人赤ちゃんを産みたいです。そして娘のためにも、ずっと元気でいたいと思います。

感謝とメッセージ

主治医の先生にお伝えしたいことはありますか。

山田さん
私にとって、病院での診察は、心のバランスを取る時間になっています。先生方にお会いするとホッとして、「引き続きしっかりと生活しよう」と思います。特に松田先生は、私と年齢も近そうで親近感があり、外来ではいつでも優しく温かく接してくださるので、病院に来るたびに安心します。

叔父様への思いを教えてください。

山田さん
手術後、叔父にどうやって感謝の気持ちを伝えようかと考えていたのですが、翌年に結婚式を挙げた際、お色直しで退場する時に、サプライズで叔父と一緒に手をつないで歩きました。娘を授かった時もとても喜んでくれましたので、私や娘が元気にしていることが、何よりも感謝の気持ちを伝えることなのではないかと考えています。

現在、移植手術を控えている、または移植手術を検討しているレシピエントやドナーの方へメッセージをお願いします。

山田さん
現在は、インターネットで何でも調べられる時代ですので、移植に関しても、調べれば調べるほど頭でっかちになってしまいますが、手術当日は自分にできることは何も無く、先生方に身を任せるのみです。先生との信頼関係が何よりも大切だと思いますので、「この先生なら大丈夫」と思える先生を見つけて、お任せするのがいいと思います。そして、その先生に移植手術をしてもらえれば、嘘みたいに元気になれると思います。移植後はごはんもおいしく食べられます。
ドナーとレシピエントの信頼関係ももちろん大切だと思いますので、みんながハッピーになれるように話し合い、答えを出されるのが良いと思います。

信頼できる先生を見つけることはとても大切ですね。

山田さん
そうですね。少しでも不信感があると、何かにつけ、「なぜこういうことになるんだ?」と思いますよね。戸田中央総合病院に対しては、家族が皆、「あの病院の先生方は、すごくいいね」と言ってくれました。移植手術の説明を受けた時は、祖母の兄弟まで病院に来てくれたのですが、大勢で伺っても、こちらの病院では嫌な顔一つせず、家族皆に一生懸命説明してくださいました。手術当日も全員が集まったのですが、特に出入りを制限されるようなこともありませんでした。看護師さんもとても親切で余裕がありますし、病院の雰囲気もとてもいいです。
今は移植後の定期的な外来の他にも、移植前から受けているカウンセリングを継続して毎月受けています。私はわりと溜め込むタイプなので、専門の先生に話をして吐き出すと楽になりますね。


松田先生
当院では、移植手術前に、レシピエントもドナーも一度はメンタルヘルス科を受診していただくのですが、移植後のフォローアップの際も希望があれば継続して行っています。

なかなか無い取り組みですね。体のケアはもちろんですが、そのような心のケアもしてくれるのですね。最後に先生から、現在移植を検討している方々に対してメッセージをいただけますか。

松田先生
私も、山田さんがお話されていたように、「自分に合う主治医の元で移植を受けるのがよい」と思いますが、もし、第一印象があまり良くなかったとしても、人と人はぶつかり合うことで本音が見えてくることもあると思いますので、受診される際には、変に斜に構えるのではなく、聞きたいことは何でも率直に聞いて、素直にぶつかってきてほしいと思います。
腎移植は、移植手術がゴールではなく、その後のフォローアップがとても重要です。むしろ移植後の診療期間の方がはるかに長くなるので、そこには心と心が通じ合う医療が必要だと思います。ですから、移植を検討されている方はまずは病院の門を叩いていただき、患者さんも医師もお互いの心の壁を外し、長いお付き合いをしていければと思っています。そしてそのような長いお付き合いができるのが、戸田中央総合病院の特徴だと思います。

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