元気の秘訣

移植後の日常生活では、移植腎のために特にどのようなことに気を付けて生活をしていますか。

小泉さん
バランスのとれた食事をするように気を付けています。昼も外食はあまりせずに、弁当にしています。ただ、付き合いで夜の外食などが続くと、どうしてもいろいろな数値が悪くなりますね。忘年会シーズンなどはてきめんです。尿酸値が上がったり、コレステロールや肝機能など、あらゆる数値に影響が出ます。
ですから、月1回の外来もタイミングを考えながら行ったりしますね。やはり数値1つで一喜一憂しますから(笑)。

食事では何に一番気を付けていらっしゃいますか。

小泉さん
やはり塩分ですね。醤油はあまりかけないようにするなどして、減塩するようにしています。

小泉さんは移植から18年たった現在も、非常にお元気そうですが、ここまで元気でこられた秘訣は、やはりマラソンを続けてこられたことと食事管理でしょうか。

渋谷先生と小泉さん

小泉さん
そう思います。また、飲みに行ったりして、夜中の12時を過ぎそうになると、妻から電話かかってくるので、そのおかげもあって節制できていますね。帰りが遅くなると、携帯にLINE(ライン)で妻から怒ったようなスタンプがたくさん届くのです。連続で30件くらい入っている時があって、かなり怖いですよ(笑)。これが届くと帰らなければいけません(笑)。
それから、やはり月に1回、きちんと診察していただいていることが大きいと思います。そこで何か異常がありそうだと分かれば、数値を見ながら自分でセーブすることができます。自分の状態を分かっているということが、とても重要だと思います。あとは、腎臓だけでなく、「そろそろ胃の内視鏡検査をやりましょうか」というようなことを先生に言っていただけるということも、とても大切なことだと思います。先日も、その流れで初めて大腸の内視鏡検査を受けました。

先生、移植後、胃や大腸の内視鏡検査などは、どのくらいの頻度で受けた方がいいのでしょうか。

渋谷先生
移植後のがん検診はとても大事ですので、胃の内視鏡検査は、可能であれば毎年受けていただきたいです。
大腸の内視鏡検査は、ポリープがなければ、2~3年に1回くらいで大丈夫です。
あとはCT検査で、他のがん例えば腎臓がんや肺がんなどができていないかどうかをチェックしてほしいですね。これらの検査は当院で行っています。

移植後はがん検診と合わせて、生活習慣病予防も大切ですよね。

渋谷先生
そうですね。生活習慣病の予防、特に肥満対策はとても重要です。移植した後は、ご飯もおいしくなりますし、元気なって食欲も出てきますので、どうしても太ってしまう人が多いのですが、少し我慢して、体重を増やさないようにすることが大事です。血圧、血糖、コレステロール、尿酸値などにも気を付けて指導しています。小泉さんの場合は、全然問題ありませんね(笑)。


小泉さん
毎日とても忙しいので、動く量も多いのかもしれません。朝の8時半くらいから夜の9時くらいまでずっと働いており、土日もほとんど働いています。出張も多いのですが、それが逆に息抜きのようになっていますね。ですので、忙しい規則正しさがあるのだと思います。逆に、もし暇になってしまったら、現在のいいバランスが崩れてしまうかもしれませんね(笑)。

睡眠はどのくらい取っていらっしゃいますか。

小泉さん
だいたい夜の12時前後に寝て、朝は6時半くらいに起きています。

移植コーディネーターからも、移植後の生活についての指導をするのですか。

河野コーディネーター

河野コーディネーター
生活習慣病予防に関しては、患者会でもお話をさせていただいたことがあります。外来で管理栄養士による個別の食事指導も行っているので、その後にお話をさせていただくこともありますね。また、きちんと管理ができている患者さんからお話を聞いて、それを参考に別の患者さんへ指導したりもします。

日常の服薬の管理や、血圧、体重の記録はどのように行っていらっしゃいますか。

小泉さん
服薬については、習慣になっていますので、朝の飲み忘れは絶対にありません。ただ、現在、夜の服薬は1つだけなのですが、普段の日は忘れないものの、宴会などで生活パターンが狂ったときに、ふと忘れることがありますね。
血圧、体重の記録は、今はもう特に行っていません。

移植後は、海外旅行などにも行かれましたか。

小泉さん
はい。毎年行っていて、ヨーロッパはほとんどの国に行きました。移植前は旅行ができませんでしたので、これも反動ですね(笑)。今年は、家族で一緒にイギリスへ一週間ほど行く予定です。


ご家族との海外旅行