厳しい状況を乗り越えて

そして無事に移植手術を終えられたわけですが、その時の気持ちを教えてください。

平山さん
手術後、尿が出た時には、とてもうれしく、「これで元気になれる」と思いました。

手術後の経過はどうでしたか。

平山さん
2回目に尿が出た時に出血があり、そこから半年ほど入院しなければなりませんでした。その間、2回ほど緊急手術を受け、ICUにも入りました。一時的に血液透析も行いました。腹膜透析が長かったせいか傷がうまくくっつかず、大変だったようです。自分ではよく覚えていないのですが、入院中に苦しい状況が続いた際、病院のスタッフの方に暴言を吐いたこともあったらしく、そのことは今でも娘に叱られます(苦笑)。何人もの先生や看護師さんに支えられ、「絶対に退院して元気になる」と強く思い、治療を受けました。
退院に向けては、ずっと点滴で栄養を取っていましたので、口にものを入れる練習から始め、また、歩けないと大分に帰れませんので、トイレに歩いて行く練習から始めました。リハビリは大変でしたが、この時も希望がありましたので、気持ちは明るかったですね。結局、2月に入院して退院したのが9月でした。退院の際には、夏の洋服を買って着替えて帰りました(笑)。

再び訪れた幸せ

移植後、ご主人に対しては何か特別にイベント等は行っていますか。また、今後何かしたいと思っていることはありますか。

平山さん
特別には行っていませんが、主人の健康に気を付けようと思い、塩分控えめのバランスの良い食事を作り、水分をきちんと取るように言っています。主人は現在71歳ですがとても元気で、毎日2~3時間歩いています。全く病気もしないので、薬も1つも飲んでいません。主人は、「手術前は少し不安だったけど、今もこんなに元気だから、腎臓が1つになってもどうってことないね」と言っています。

移植後、ご主人と一緒に

移植をしてから一番良かったこと、うれしかったことはどのようなことですか。

平山さん
自由にいつでもどこにでも、出かけられるようになったことです。腹膜透析をしていた時は、車をバンに買い替えて、透析に必要な荷物を大量に積み、宮崎や鹿児島に旅行したこともありましたが、本当に大変でした。
移植後は、時間も荷物も気にせず移動できるようになり、次男のハワイでの結婚式にも出席することができました。私にとって初めての海外旅行だったということもあり、本当にうれしかったですね。
3人の子どもたちは、まるで私が移植をするのを待っていたかのように、次から次へと結婚しました。娘いわく、私が移植する前は、家庭に陰の空気が漂っていたそうです。それが移植をしたことで陽の空気に変わり、家庭の運気が上がったのだと思います。娘が2回出産した時にも、それぞれ1カ月ほど自宅で孫の世話ができましたし、今も、いつでも孫に会いに行けることは、とてもうれしいことです。

息子さんの結婚式とお孫さん

移植後の日常生活では、移植腎のために特にどのようなことに気を付けて生活をしていますか。

ヨガに通っています

平山さん
何も気にせず食事ができるようになったのはうれしいことですが、塩分は取り過ぎないようにして、よく水分を取るように気を付けています。また、体力づくりのために、1週間に1回ヨガにも通っています。

日常の服薬や、血圧・体重等の記録はどのような方法で行っていますか。

一週間分の薬ケース

平山さん
服薬は、1週間分の薬が収納できるケースに入れて飲み忘れがないようにしています。ケースは分割して携帯できるようになっているので、旅行のときにも持参しています。
体重・血圧は毎朝測っています。体重コントロールに関しては、食べ過ぎないように気を付けています。

移植後、新たに始めたことや、今後の夢はありますか。

平山さん
特別なことではありませんが、移植後は親しい友人や娘とおいしいランチを食べに行けるようになり、毎回とても楽しみにしています。また、もう一度海外旅行に行くのが夢です。オーストラリアやアメリカ、ヨーロッパに主人と一緒に行ってみたいですね。