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後藤 憲彦先生 コラム

腎移植後の外来ではさまざまな検査が行われます。腎移植後に検査値をみる上で知っておくべきことや、移植内科医がどのようなポイントをみているのかについて、名古屋第二赤十字病院の後藤憲彦先生にシリーズで解説していただきます。
第4回目は尿潜血についてです。


①尿潜血とは

尿潜血とは、尿中に赤血球が混じる状態のことです。健常者でも1日に約2万個の赤血球が尿中に排泄されますが、腎臓や尿管などに異常があると量が増加します。
検査は試験紙を使って尿中の赤血球の有無を判断します。無症状であることがほとんどで、健康診断で指摘されることが多いです。
肉眼ではっきりと認識できるもの(赤っぽい尿や黒っぽい尿など)は、肉眼的血尿とよばれます。

検尿

尿中に赤血球が混じるのは、主に腎臓や尿管、膀胱、尿道といった尿の通り道(尿路)になんらかの異常が起きている場合です。泌尿器系の腫瘍や、尿路結石、尿路の炎症、内科的腎疾患などの原因が考えられます。


②尿潜血の基準範囲

陰性(ー)


③腎移植後に尿潜血をみる上でのポイント

尿潜血が陽性の時には、移植腎の前(血液)に問題があるのか、移植腎が問題なのか、膀胱や尿路系といった移植腎の後ろが問題なのかを分けて考えます。頻度が高いのは、移植腎と移植腎の後ろ(膀胱や尿路系)の問題です。

移植腎からの血尿には、拒絶反応、感染症、移植腎結石、腎動静脈瘻、再発腎炎などがあります。以前は激しい急性拒絶反応で血尿が出ましたが、免疫抑制薬の進歩により最近ではほとんど見なくなりました。しかし、移植腎機能喪失後の免疫抑制薬減量時に起きる移植腎に対する拒絶反応は、しばしば経験します。透析再導入となり自尿がなくても血尿が出ます。同時に微熱や移植腎腫脹があるのが特徴的です。
感染で重要なのは、アデノウイルスによる出血性膀胱炎です。尿道痛で始まり、目で見てわかる血尿と発熱が続きます。尿からのアデノウイルス抗原検出で診断します。クレアチニンも上昇します。また、移植腎は腎生検をする機会が多いので、腎動静脈瘻も鑑別に上がります。移植腎ドップラーエコーで確認します。尿変形赤血球が陽性なら再発腎炎を疑います。必要であれば移植腎生検を予定します。
※腎動静脈瘻:腎臓内の動脈と静脈に異常な交通ができてしまい、毛細血管を経由せずに、動脈から直接静脈へ血液が流れてしまう疾患。

移植腎の後ろ(膀胱や尿路系)からの血尿には、尿路結石とともに膀胱癌、腎盂尿管癌などの悪性腫瘍を考える必要があります。感度は低いですが、尿細胞診を複数回行います。必要があれば画像や膀胱鏡を追加し精査します。

頻度は少ないですが、移植腎の前(血液)に問題がある時(溶血によるヘモグロビン尿や、筋肉が大量に壊れた時のミオグロビン尿)にも、尿潜血が陽性になります。これらの時には、尿沈渣での赤血球は陰性になります。




腎移植後の管理で重要な検査値解説 掲載予定内容

【1】クレアチニン(CRE)

【2】eGFR

【3】尿酸(UA)

【4】尿潜血(今回)

【5】尿蛋白

【6】尿沈渣

【7】白血球数(WBC)

【8】カリウム(K)

【9】カルシウム(Ca)、リン(P)、副甲状腺ホルモン(PTH)

【10】中性脂肪(TG)

【11】LDL‐コレステロール(LDL‐C)、HDL‐コレステロール(HDL‐C)

【12】ヘモグロビン(Hb)

【13】空腹時血糖

【14】HbA1c

【15】75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)


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