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MediPress編集部 コラム

  • 第21回世界移植者スポーツ大会 大会レポート <前編:大会に向けて>

    第21回世界移植者スポーツ大会 大会レポート <前編:大会に向けて>

2017年6月25日~7月2日にかけて開催された、第21回世界移植者スポーツ大会の様子を、聖マリアンナ医科大学 腎泌尿器外科 准教授 丸井祐二先生にレポートしていただきました。<前編:大会に向けて><後編:大会報告>に分けてお届けします。


第21回世界移植者スポーツ大会(スペイン) 大会レポート <前編:大会に向けて>

このたびの日本チームの構成は、心臓移植者4名、肝臓移植者1名、腎臓移植者6名、生体腎移植ドナー1名、家族サポーター5名、随行医師2名の総勢19名となりました。
日本代表としてのWTG(World Transplant game)加盟団体である日本移植者スポーツ協会、理事長下野さんと副理事長戸塚さんもそれぞれ腎移植者として競技にエントリーし、医療班ではチームマネージャーを兼ねる丸井に加え、吉川先生(神戸大学医学部附属病院 腎臓内科 特定助教)の参加もあり、多勢ではないですが、心強いメンバーとなりました。


■世界移植者スポーツ大会のメッセージ

今大会のホームページで流れるビデオでは、「競技している姿は普通の人のように見えるけれど、私たち一人ひとりの中には、人生の終わりを見た者と、新しい人生を始めるために何の見返りも求めずに手を差し伸べてくれた人との物語がある」と紹介しています。

世界移植者スポーツ大会(World Transplant Game, WTG)は2年に一度、毎回開催国を変えて行われ、約50か国から1,500人以上の仲間が集まります。大会を通じて、競技に情熱をぶつける移植者の姿と、彼らに大声で声援を送るサポーターの姿から、語られることのないストーリーが、そして、移植者からほとばしる感謝の気持ちが、ひしひしと伝わってきます。


■日本チーム メンバー紹介

6月23日の夜中に出発した飛行機は、今、地中海の上を巡航中です。日本チームのメンバーの活躍を期待しつつ、少し彼らの紹介をしようと思います。(以下尊敬語略です。ご無礼お許しを。)

<菊地 咲帆さん>
最年少7歳でのエントリーは、心移植者のさほちゃんで、ご両親が一緒に参加することになりました。旅慣れたご両親で、さほちゃんだけでなく僕たちにとっても心強いです。アメリカでの心臓移植は相当のご苦労があったと思います。移植者の皆さんは、誰しも他人には想像できない長い時を経て、それぞれの今があるのだと思うと、僕の口から出てくる言葉は、様々な人と縁に対する感謝しかありません。一緒に楽しい時を過ごしましょう。


<堀井 敬太さん>
心移植後2年での参加となったけいた君は15歳。神戸で行われた全国大会の参加をきっかけに本大会出場となりました。愛知県から羽田まで見送りに来たお母さんは、けいた君と免疫抑制剤の内服時間を最後まで確認し、僕たちに深々とお辞儀をされ、弟妹の世話のため夜行バスで帰られました。けいた君自身は、「今月、修学旅行で東京に来たんだ」と嬉しそうに話してくれました。けいた君にとっては初めての海外旅行ですが、彼は突然発症した心筋症のため、アメリカに渡航することになったので、正確には2度目の海外となります。


<市川 奈々枝さん>
22歳になった奈々枝ちゃん(愛称で呼ぶことは許してもらいました)は4回目の参加。初めての大会は僕と同じ2007年のタイ、バンコクで、その時はまだ小学生でした。前回のアルゼンチン、マル・デル・プラタの大会では、バドミントンでシングルス銀メダル、ダブルスでは倉田さんと組んで銀メダル、そして、ボーリングで金メダルを獲得しました。今年は出発直前まで幼稚園の保育実習に追われていましたが、どうにか出発には間に合いました。これまでの大会も今回の大会もお母さんがサポーターとして同行してくれています。お母さんは、「今後も毎回来ることができるようにずっと元気であってほしい」とおっしゃっておられました。


<倉田 雄介さん>
倉田さんは12年前のカナダ、トロントの大会に初出場(その時は腎移植後2年)し、バドミントンダブルスでいきなり金メダル、シングルスは銀メダルとなりました。今回は5回目の出場で、全大会メダル獲得を狙っており、今大会では久々の金メダルに届きそうです。


<杉山 浩三さん>
杉山さんは今回応援での参加です。1986年に献腎移植を受け、その7年後にカナダ、バンクーバーの大会に卓球で初出場。2年後のイギリス、マンチェスター大会にも出場しました。全国大会である日本移植者スポーツ大会は第3回からの常連です。2001年のWTG神戸大会では大久保さんとともに大会運営をしてこられた、WTGゆかりの人です。


<落 貫男さん>
落さんは心移植後16年で、奥さんとともに2回目の参加。移植までの人工心臓での気の抜けない生活を、奥さんが支えたと聞いています。奥さんは今回の大会を、それはそれは楽しみにしていたとのこと。ご夫婦曰く、2回目の人生、2回目の海外旅行、ということです。


<仲里 則男さん>
仲里さんは沖縄からのエントリーです。1998年、お父さんからの生体腎移植で、お父さんの体も気遣いながら、医療施設の仕事と、地域の活動に精力的に取り組まれています。以前は沖縄の移植コーディネーターの仕事もされていました。バンコク大会ではボールスローで金メダルを獲得しています。今回も奥さんが応援参加しており、仲里さんの活躍は内助の功によるところも大きいと察します。


<若松 力さん>
若松さんは腎移植後の初参加。水泳の全日本マスター大会のメダリストで、水泳のエントリー5種目すべてで金メダルを狙っています。しかし、直前まで猛烈に練習し、ここにきて疲れが出ていることが気がかりです。ドナーである奥さんは、本大会が初となるドナー種目の水泳にエントリーしています。


<渡邉 源喜さん>
渡邉さんは、心移植を受けて8年、今回初参加で張り切っています。日本移植者協議会役員として移植医療推進、臓器提供への理解を進める活動を精力的に行い、日本移植学会でも発表されています。幼い頃から体が弱かった彼が、生まれて初めて参加する試合が国際試合なのは実に興味深いことです。彼の活躍にはこれからも目が離せません。


<下野 浩さん>
下野さんは卓球での参加。杉山さん、戸塚さんと同様、前理事長である大久保さんとともに、日本の移植者のスポーツを推進してきた立役者です。自宅では農業に励み体を鍛えていると聞きます。飄々とした中に闘志を潜ませて、試合に臨むことでしょう。


<戸塚 仁さん>
戸塚さんは言わずと知れた、キャプテン戸塚です。大会の選手登録から、航空機の手配まで一言の文句も言わずにこなし、下野さんと今大会の準備をやり切りました。自身は、日本人初の陸上100m、200mの金メダリストで、前回大会もメダル獲得となりました。今回は陸上、テニス、さらには水泳のリレー、ペタンクと多彩な運動能力を発揮し、日本チームを牽引する予定です。


<吉川美喜子先生>
吉川先生は、神戸大学で活躍している腎臓内科医で、移植医療のよき理解者です。今大会が行われるスペインへは、移植医療推進のための活動を学ぶための研修で訪れています。心も熱い彼女から発せられる移植者への熱いまなざしと、彼女の内科医としての存在は、参加者皆に大きな安心を与えてくれています。これからのホープです。


<丸井祐二>
私は、「目の前にいる患者さんの中に、明日の教科書の中身がある」と書かれたレリーフが講堂に飾られた病院に10年間勤めていました。最近、聖母マリアの教えを重んじる大学に移り、心優しい医師を目指しています。チームマネージャーは2大会目ですが、肝心の試合のことより、いかに楽しめるかばかりを考えるキライがあります。


日本チームの選手の活躍の様子は、<後編>からご確認ください!


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