「腎移植後のニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)の予防としてバクタ錠を内服して貰っていますが、これは果たして必要なのでしょうか?」という問い合わせをいただきますが、答えは「必要」と考えています。

2年ほど前に腎移植後1年以上が経過し安定した患者さんに全国でニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)が多発したことがあります。いくつかの施設ではこれによる死亡例も報告されています。現在、全体的に免疫抑制は強くなり拒絶反応は著しく減少している一方でニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)はやや増加していると考えたほうがよさそうです。現在、施設により方針は異なりますが、女子医大泌尿器科の外来では週に3-6錠のバクタ錠内服をお勧めしております。

この内服開始後はニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)を発症する患者さんは激減し最近は全く発生していません。ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)は発見が早いとバクタが良く効くため治療可能ですが治療開始が遅れると重症化し時には死亡することもあります。安定期は外来への通院間隔が長くなり発熱から受診までに時間が経ってしまい重症化してしまうことがあるのです。

ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)は通常、発熱から始まることが多く、風邪と間違われがちです。呼吸が苦しくなるほどにまで進行すると治療が大変ですので発熱がある場合できるだけ腎移植専門医に相談していただけると良いかと思います。