トップページ  >  移植コラム  >  ドクターコラム  >  「白血球の型“HLA”」 腎移植に対する患者さんの誤解 その3

原田 浩先生 コラム


前回の「腎移植に対する患者さんの誤解その2」では血液型が異なる腎移植について触れました。今回はもう一つの組織適合性の問題、白血球の型“HLA” について述べたいと思います。

白血球の型、HLAはhuman leukocyte antigen(ヒト白血球抗原)の略です。さて、HLAとは何でしょうか。これはあらゆる細胞の表面についていて個人を区別するための旗印のようなものです。ちょうど国旗がそれぞれの国の目印になっているのと同じで個人を識別するのに必要なものなのです。

さて、人体は外部からの侵入者(細菌やウイルスなど)があった場合、これらを生体内にある防衛システムによって撃退しており、これが免疫と呼ばれる仕組みです。この防衛システムが有効に作動するには外敵がどこにいるのか探す必要があるのですが、その目印となるのが細菌やウイルスでは抗原といわれるものです。この抗原は、先に述べた国旗とおなじように細菌やウイルスの目印となるものなのです。臓器移植の場合、移植された臓器は他人のものですから当然、他人の目印(国旗のような個人を区別するもの)、いわゆるHLAといわれる抗原を持っています。レシピエントはこの目印を見つけて移植された臓器を外敵とみなして攻撃しはじめるのです。これが、世に言う拒絶反応といわれるものなのです。
この攻撃を行う兵隊のなかでも “異物”を攻撃するTリンパ球が臓器移植における拒絶反応では重要となります。移植臓器の目印であるHLAを外敵と認識すると兵隊リンパ球を動員し、攻撃を開始します(図1)。腎移植前にはドナーおよびレシピエントのHLAのなかでもA, B, DR で各々2つずつ計6つの抗原を調べその適合度を調べます(図2)。当然HLAは遺伝します。つまり親子間では最低半分は合っていることになります。これまで拒絶反応はHLAが合っている方が少ないとされ、重要視されてきました。たとえば、一卵性双生児間の移植では免疫抑制剤は無くとも拒絶反応は起きません。しかし、免疫抑制剤の発達した現在では、HLAはかつてほどの意味を持たなくなってきています。他人である夫婦間移植でも肉親から提供された臓器と同様に問題なく生着することがこれを裏付けております。

かつてのHLA検査で、あまり適合性が多くなく移植が難しいと言われた方、また合っている人間から提供をすすめられたりして、提供に気が進まないとされているご家族、今一度移植施設を受診することをお勧めします。

次回は拒絶反応の仕組みについてお話します。このHLAがまた登場します。なお今回の記事の中で、あれっ?と思った方、一般の免疫とは異なる臓器移植での免疫の特殊性がおわかりになると思います。

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