トップページ  >  移植コラム  >  薬剤師コラム  >  薬を正しく飲み続けるために【2】 ~免疫抑制剤との相互作用④ 他科受診の際の注意点<前編>~

薬剤師コラム

前回は、免疫抑制剤と抗生物質の相互作用について解説いたしました。今回は少し視点を変えて進めていきたいと思います。

移植後月日が経過して体調が安定していると、風邪のようなちょっとした体調の変化については、近医を受診したり、市販薬を購入したりすることがあるかと思います。
そんな時、処方された薬をそのまま飲んで大丈夫だろうか?お店の人に勧められた市販薬を飲んで問題が起きないだろうか?などの疑問を持ったり、不安を感じたりすることはないでしょうか。
そこで、どんな体調の変化で、どんな科にかかると、どんな種類の薬が出されることが多いのか、そしてその際にはどんな点に注意しなければならないのかを、一般的な内容に限定されますが、2回に分けてまとめてみたいと思います。
1回目の今回は、内科受診、耳鼻科受診についてです。

尚、注意が必要な薬が処方された場合には、服用前に、移植医、薬剤師にご相談の上、指示に従うようにしてください。
また、移植後間もない患者さんや、移植後月日は経過していても、体調の変化がある患者さんの場合は、近医受診で済まさないほうが良いことがありますので、注意が必要です。


① 喉の痛み、咳や痰、発熱で内科を受診した場合

発熱

■処方されることがある薬
抗生物質、解熱鎮痛抗炎症薬、咳止め、痰を切る薬などが処方されることが多いです。

■薬を処方された際の注意点
◎抗生物質
注意が必要ですので、前回の記事をご確認ください。(薬を正しく飲み続けるために【2】 ~免疫抑制剤との相互作用③ 抗生物質~

◎解熱鎮痛抗炎症薬
解熱鎮痛抗炎症薬の多くはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)という種類の薬で、その多くが腎臓に負担をかけます。患者さんの現在の腎機能に見合った適切な薬剤、服用量、服用回数にする必要があります。
NSAIDsの例として、ロキソニン®やブルフェン®などがあります。カロナール®は厳密にはNSAIDsには分類されませんが、カロナール®もよく処方されます。風邪症状の時に、PL配合顆粒®という配合剤が処方されることがありますが、PL配合顆粒®の中にカロナール®と同じ成分(アセトアミノフェン)が入っているので、PL配合顆粒®とカロナール®を併用する場合は、アセトアミノフェンの量が多くならないように注意が必要です。

◎咳止め、痰を切る薬
あまり心配はいりません。



② 腹痛、下痢、悪心、嘔吐などの症状で内科を受診した場合

悪心嘔吐

■処方されることがある薬
抗生物質、整腸剤、腹痛に対する薬、下痢止めなどが処方されることが多いです。

■薬が処方された際の注意点
◎抗生物質
注意が必要ですので、前回の記事をご確認ください。(薬を正しく飲み続けるために【2】 ~免疫抑制剤との相互作用③ 抗生物質~

下痢では脱水症状を起こしやすく、移植腎に影響があることがあります。また感染性胃腸炎にも注意が必要です。症状が一過性でない場合は、移植施設を受診しましょう。



③ ピリピリした痛み、赤い発疹などの症状で内科を受診し、帯状疱疹と診断された場合

帯状疱疹

■処方されることがある薬
抗ウイルス薬が処方されることが多いです。例としては、バルトレックス®、ファムビル®、ゾビラックス®があげられます。
発疹や水疱に、ゾビラックス軟膏®、アラセナA軟膏®という塗り薬が処方されることがあります。

■薬が処方された際の注意点
これらのお薬は腎臓に負担をかけるため、患者さんの現在の腎機能に合わせた用量調節が必要になります。内科を受診した際には、健常人の用量が処方されることが多いので、服用前に移植医、薬剤師に用量を確認すると良いでしょう。
塗り薬の使用は問題ありません。

尚、ヘルペスと診断された場合も、帯状疱疹と同じ上記の抗ウイルス薬が処方されます。(帯状疱疹とは用量は異なります。)この場合も服用前に、患者さんの腎機能に見合った適切な用量かどうかを確認するようにしましょう。



④ 残尿感や排尿痛などの症状で内科を受診し、膀胱炎と診断された場合

膀胱炎

■処方されることがある薬
抗生物質が処方されることが多いです。

■薬が処方された際の注意点
◎抗生物質
注意が必要ですので、前回の記事をご確認ください。(薬を正しく飲み続けるために【2】 ~免疫抑制剤との相互作用③ 抗生物質~

膀胱炎とよく似た症状で発熱を伴う腎盂腎炎という疾患があります。(腎盂腎炎とは、腎臓に細菌感染を起こし炎症を起こした疾患です。)移植腎に影響がある場合があるので、移植施設を受診した方が良いかどうかを移植施設に相談しましょう。



⑤ 鼻炎、花粉症、副鼻腔炎などで耳鼻科を受診した場合

耳鼻科

■処方されることがある薬
抗生物質、抗アレルギー薬、メディエーター遊離抑制薬(例:シングレア®)、点鼻用ステロイド剤、解熱鎮痛抗炎症薬などが処方されることが多いです。

■薬を処方された際の注意点
◎抗生物質
注意が必要ですので、前回の記事をご確認ください。(薬を正しく飲み続けるために【2】 ~免疫抑制剤との相互作用③ 抗生物質~

◎解熱鎮痛抗炎症薬
解熱鎮痛抗炎症薬の多くはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)という種類の薬で、その多くが腎臓に負担をかけます。患者さんの現在の腎機能に見合った適切な薬剤、服用量、服用回数にする必要があります。
NSAIDsの例として、ロキソニン®やブルフェン®などがあります。カロナール®は厳密にはNSAIDsには分類されませんが、カロナールもよく処方されます。風邪症状の時に、PL配合顆粒®という配合剤が処方されることがありますが、PL配合顆粒の中にカロナールと同じ成分(アセトアミノフェン)が入っているので、PL配合顆粒とカロナールを併用する場合は、アセトアミノフェンの量が多くならないように注意が必要です。

◎抗アレルギー薬
腎臓に負担をかけるタイプの薬とそうでないタイプの薬があるので、その患者さんの現在の腎機能に見合った適切な薬剤を選ぶ必要があります。
腎臓に負担をかけるタイプとしてジルテック®、ザイザル®、タリオン®、アレロック®、クラリチン®がありますが、負担をかける度合いには差があり、一概にどれもよくないということではありません。負担をかける度合いとその患者さんの腎機能とのバランスを考えることが必要です。
逆に、腎臓に負担をかけないタイプとして、アレグラ®、アレジオン®、エバステル®があります。

◎その他:ステロイド剤
耳鳴り、めまい、メニエール症などで耳鼻科を受診される場合、ステロイド剤、むくみを取る薬、血管を拡張させる薬などが処方されることが多いです。
ステロイド剤を処方された時は、免疫抑制剤の一つとして服用しているメドロール®、プレドニン®などの用量調節を確認する必要があります。


重要
上記記載の注意が必要な薬であっても、医師の判断で使用するケースもあります。場合によっては免疫抑制剤の用量を調節しながら治療を行うこともあります。
主治医の指示に従い、自己判断で薬の服用をやめたり、服用量を調節したりすることはしないようにしましょう。


次回は、歯科、眼科、整形外科、婦人科受診について解説します。


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