トップページ  >  インタビュー  >  ドクターインタビュー  >  愛知医科大学病院 腎移植外科 教授 小林孝彰先生

ドクターインタビュー

今後の取組みと患者さんへのメッセージ

-----服用量を丁寧に調整することが、患者さんのしっかりとした服薬につながるというのは本当に素晴らしいですね。今後はさらに、どのようなことに取組んでいかれるのですか。

小林先生

研究データをもとに臨床をしっかりと行い、移植の成績を今よりも良くしていきたいと思っています。腎移植の短期成績はかなり向上しましたが、長期成績のさらなる向上を目指し、患者さんが高いQOLを維持できるようにしたいですね。長期成績が悪くなる要因の1つには、慢性拒絶反応がありますが、血中濃度に基づき薬を決められた通りに飲んでいても、その患者さんにとって本当に適正な量であるかという点は検証する必要があると思います。そのような観点からも、いろいろな試みを行っていきたいと考えています。


-----具体的にはどのようなことを行っていくのですか。

1つは免疫抑制療法の個別化です。現在も十分に免疫抑制薬の血中濃度を確認して服用量の調整をしていますが、今後はさらに、ファーマコダイナミクス(薬力学)によって、患者さん1人1人に合った薬はどれなのか、というところまで調べ、個々の患者さんに適した薬、適した量を処方できるようにしていきたいと考えています。個々の患者さんによって一番良い免疫抑制療法は何なのかということを、移植前に見極め、移植後も継続して行っていくということです。
一番注目しているのは、CNI(カルシニューリン阻害薬)の減量です。CNIはとてもいい薬で、CNIの登場によって腎移植の成績が向上しましたが、反面、CNIには腎毒性もあるので、うまく減量していく試みを行っていきたいと考えています。
※ファーマコダイナミクス:主に薬物の血中濃度と薬効の関係を扱う学問

-----CNIの服用量を減らすためにはどうしたらいいのでしょうか。

CNIを減らすために他の薬を足してしまうと、全体では過剰な免疫抑制療法になってしまうこともありますので、他の薬を足すのではなく、細かい服用量の調整を行いながら、拒絶反応も起こさず、腎障害も少ない必要十分量を探すことが必要です。私どもは、移植前にファーマコダイナミクス(薬力学)解析を行い、CNI高感受性の患者さんには、CNI投与量の減量に成功しています。
また長期に経過した患者さんによっては、実際は、免疫抑制薬を現在の服用量より減量しても、拒絶反応などを起こさず、移植腎を維持できる人もいると思います。免疫抑制療法の最小化については、いろいろな施設でさまざまな試みが行われています。免疫抑制薬が引き起こす副作用を軽減できるからです。私たちも、将来的に免疫抑制療法の最小化ができる人の見極めができないかということを考えています。さらに、実際に最小化に取り組んだときに、一番怖いのは拒絶反応が起きることですので、いち早く拒絶反応の診断ができるようなバイオマーカーがないかということも調べています。そのようなバイオマーカーが見つかれば、免疫抑制療法の最小化にも取り組んでいけると考えています。
※バイオマーカー:ある疾病の存在や進行度をその濃度に反映し、血液中に測定されるタンパク質等の物質を指す用語

-----さらなる長期生着のために、さまざまな試みが行われているということですね。最後に、現在腎移植を検討されている患者さんやそのご家族に向けたメッセージをお願いします。

腎移植医療は、患者さんだけでなく、そのご家族も含めた、患者さん1人1人の人生に深く関わる医療だと思っています。当科では、レシピエントに対しても、ドナーに対しても、安全、安心でハイレベルな医療を提供し続けられるよう、さらに努力し、よりよいチームを作っていきたいと考えています。 移植を検討されている患者さんやそのご家族の方は、ぜひ安心して相談にきていただければと思います。


【問い合わせ先】
愛知医科大学病院 腎移植外科

(1)現在かかっている病院の主治医から紹介してもらう方法
腎移植外科への直接紹介の場合は、愛知医科大学病院地域医療連携室(電話0561-65-0221、FAX 0561-65-0225)に「診療情報提供書(兼)受診依頼票」を用いて診察予約をしていただきます。

(2)電話での問い合わせ方法
愛知医科大学(0561-62-3311)へ電話をして、レシピエント移植コーディネーターもしくは腎移植外科医師へ直接繋いでもらって下さい。
<受付時間:午前10時~午後4時>

(3)FAXでの問い合わせ方法
腎移植外科直通FAX(052-308-3874)へ貴方の連絡先と相談したい事項を書いて送信して下さい。


お気に入り記事に登録

<< 前へ   1   2