虎の門病院

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虎の門病院 腎センター外科 インタビュー

虎の門病院は、東京都と神奈川県に2つの病院を持っています。本院(港区虎ノ門)は1958年に開院し、続いて分院(川崎市高津区)が1966年に開院しました。本院は2019年5月1日に旧病院の隣接地に新築移転しました。新病院は地上19階、地下3階建てで、病床数819床、手術室20室、外来診察室109室、個室216室の設備が整い、新しい体制での診療がスタートしました。
虎の門病院では、1982年に分院で腎移植が開始され、2002年から本院でも腎移植が行われるようになりました。2023年12月までに792例(うち献腎移植150例)の腎移植が行われています(2024年1月時点)。腎センター外科が腎不全患者さんに対する外科的治療として、腎移植と腎不全外科を行っています。
腎センター外科の石井保夫先生、中村有紀先生に、虎の門病院における腎移植医療の特色についてお聞きしました。(取材日:2019年10月1日)

腎センター外科の特色

まず、腎センター外科の特色についてお聞かせください。

石井先生

石井 保夫先生

石井先生:
腎センター外科が行っている手術は、腎移植手術、腹腔鏡下ドナー腎採取術、血液透析患者さんのための内シャント作成、PTA(経皮的血管拡張術)などのバスキュラーアクセス手術、腹膜透析のカテーテル挿入術、二次性副甲状腺機能亢進症に対する副甲状腺全摘術、腎不全の腎臓摘出術(嚢胞腎、腎腫瘍等)などです。
腎センター外科の医師は全員、一般外科・消化器外科のトレーニングを受けており、その後、腎移植・腎不全外科を専門科にして働いています。一般外科・消化器外科の経験を積んでいるので、難しい場面でも、患者さんの状態に応じて安全に柔軟に手術を行うことが出来ます。医師全員が外科医としての引き出しを多く持っていることが、当科の強みだと思います。

腎移植はどのような体制で行っていますか。

石井先生:
本院、分院の医師が協力し合い、腎移植を行う体制を整えています。どちらの施設においても、全く同じクオリティの治療を受けていただくことが可能です。最近は、生体腎移植では、血液型が違うドナーとレシピエントの移植(ABO血液型不適合移植)や、透析導入前に移植を行う先行的腎移植が増えています。
これらの患者さんの治療は、外科医だけでなく、腎センター内科の医師と連携して行っています。虎の門病院の腎センター内科は、難治性疾患を原疾患とする腎不全患者さんや、多発性嚢胞腎の患者さんの治療を多く行っていますので、そのような患者さんに対する腎移植も多くなってきています。また、腎臓病理専門の病理医による病理診断が院内で行えるため、迅速な治療が可能です。
その他、看護師や薬剤師、管理栄養士、ソーシャルワーカーが、腎移植前後のさまざまな場面で、患者さんやそのご家族のサポートを行う体制が整っているため、安心して移植手術を受けていただくことが出来ます。
また、虎の門病院は、本院、分院ともに日本臓器移植ネットワークの腎移植施設として登録されていますので、患者さんの希望に応じて、本院(東京都)、分院(神奈川県)のどちらでも献腎移植の登録が可能です。
関連記事:虎の門病院 分院 献腎移植における臓器保存の新たな取組み

石井先生が腎移植を行う上で大切にされていることはどのようなことですか。

石井先生:
腎移植は、ドナーがいなければ成立しない特殊な環境で行われる医療です。腎不全の患者さんが腎移植を行うことで、透析をしない生活を送ることが出来るのは、何よりも幸せなことです。それは、ドナーから善意の提供があるからこそ、そのような恩恵を受けることが出来るのです。
生体腎ドナーの手術は本来であれば行わなくてよい手術を行うわけですから、ドナーの方にとって精神的、身体的に一番負担の少ない方法を考えて手術をすることを大切にしています。先行的生体腎移植では、移植を行う時期がレシピエントの腎機能に左右されるため、知らないうちにドナーにプレッシャーをかけていることが多いです。ドナーになる方の善意の気持ちを尊重して安全な治療を行うことが、何よりも優先されるべきことだと考えています。どの患者さんにも、よく考えて腎移植を行うかどうかの決断をする必要があると思います。

腎移植を希望する患者さん向けの外来などは行っていますか。

中村先生

中村 有紀先生

中村先生:
レシピエント移植コーディネーターの看護師と、透析室や腎センターの病棟の看護師が、本院、分院でそれぞれ月4回、移植相談外来(本院は毎週火曜日、分院は第1、3金曜日と第2、4火曜日)を行っています。末期腎不全になった患者さんに、腎移植、血液透析、腹膜透析の3つの選択肢について、詳しい説明を行います。患者さんの将来設計や家族構成、仕事の内容などに応じて、適切な治療方法を選択していただけるように、相談に応じています。
移植相談外来は、腎センタ―外科の外来日と同じ日に行っていますので、患者さんの通院の負担も少なく、医師には質問しにくいようなことも、レシピエント移植コーディネーターや、看護師に質問したり確認したりすることができるようになっています。移植相談外来の情報は月に1度、医師、看護師で共有し、個々の患者さんに最適な治療が行える体制を整えています。

腎移植後のフォローアップはどのように行っていますか。

中村先生:
腎センター外科の医師が腎移植後のフォローアップ外来も行っています。
また、当院は診療科間の垣根が低いため、科を超えて相談しやすい環境があります。腎移植後に腎臓疾患以外の患者さんを診てもらいたいときには、ほとんどの場合、院内での併診が可能ですので、患者さんにとっても非常に安心感があると思います。
これまでにも、腎移植後に心疾患を発症した患者さんは、当院の循環器センター外科で手術を行いましたし、IgA腎症の患者さんの両側扁桃摘出も当院の耳鼻咽喉科で行いました。移植後のステロイド性白内障は眼科、移植前に他院に通院していた糖尿病患者さんは、移植後は当院の内分泌代謝科(糖尿病・代謝部門)で通院加療されています。

現在、初診から生体腎移植手術までの期間はどのくらいでしょうか。

中村先生:
患者さんやドナー候補の方の状況にもよりますが、約2~3カ月です。

移植を検討されている患者さんとそのご家族に向けて

石井先生と中村先生

中村先生:
医師は希望を叶える仕事だと思っています。末期腎不全と言われた患者さんにとって、腎移植は希望です。そして、腎移植は末期腎不全の根治治療として確立された医療です。私たちは外科医としての豊富な知識、経験をベースに、患者さん1人1人と真摯に向き合い、諦めない腎不全治療を行うことをモットーとしています。
患者さんが話しやすい雰囲気を作ることを心がけながら、日々の診療にあたっていますので、ぜひお気軽に相談にお越しいただき、説明を十分に聞いて悩んだ末に、移植を受けることを決めたのであれば、その後は安心して我々にお任せください。

石井先生:
腎移植は、可能なら、献腎移植だけで成り立つべき医療だと思っています。しかし日本は欧米に比べてなかなか献腎ドナーが増えないため、生体腎ドナーに頼らざるを得ないという現状があります。生体腎移植を行うときには、ドナーになる方に、一番負担がかからない方法を考えることが何よりも大事だと思います。ドナーに精神的なプレッシャーをかけることがなく、また体の負担をできるだけ少なくする方法で、手術を行うことが大切であると考えています。私たちは、患者さんに起こり得るさまざまな可能性を深く検討して、絶対に不利益を与えないという執念を持って診療していますので、安心して相談に来ていただければと思います。

移植件数

腎移植件数

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
本院 生体腎移植 22 16 17 21 25
献腎移植 2 3 2 4 4
分院 生体腎移植 13 11 9 15 16
献腎移植 5 3 1 0 1
合計 42 33 29 40 46

移植チーム紹介

移植チーム 写真

腎センター外科 医師

  • 石井 保夫
  • 中村 有紀
  • 三木 克幸
  • 横山 卓剛

レシピエント移植コーディネーター

  • 石川 祐太

受診について

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腎移植についてのご相談は「腎センター外科の外来」で対応しています。

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初診のご予約は、医療機関様からは医療連携室で、患者さんご自身からは紹介予約直通電話で承っておりますので、主治医から紹介状を書いていただいた上で、ご予約ください。

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相談時は、患者さんお1人で来院していただいても、ドナー候補や代諾者の方と一緒に来院していただいても大丈夫です。また、ドナー候補の方が遠方にお住まいの場合はご相談ください。

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