くすり事典

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腎移植後には、免疫抑制薬を中心とした、いくつかの薬剤の服用が必要となります。ここでは、腎移植前後に服用する可能性のある薬剤を、その作用・効果に分けてご紹介します。

降圧薬(高血圧治療薬)

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)

商品名
【先発医薬品】ニューロタン、ブロプレス、ディオバン、ミカルディス、オルメテック、イルベタン、アバプロ、アジルバ など
【後発医薬品】ロサルタンK、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン、イルベサルタン など
この薬の作用

・腎臓の糸球体から、レニンというタンパク質分解酵素が分泌され、血液中のアンジオテンシノーゲンというタンパク質からアンジオテンシンⅠというホルモンが作られます。
ここにアンジオテンシン変換酵素(ACE)が働くことで、アンジオテンシンⅡに変換されます。
アンジオテンシンⅡは、全身の動脈を収縮させるとともに、副腎皮質からアルドステロンを分泌させます。
アルドステロンは、ナトリウムを体内に留める働きがあり、これによって循環血液量が増加し血圧が上昇します。

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬

・ARBは、アンジオテンシンⅡの受容体に特異的に結合し、アンジオテンシンⅡの生理作用(血管収縮、体液貯留、交感神経亢進作用)を抑制し、血圧を下げます。
・尿蛋白、尿中アルブミン減少、腎保護作用があります。糖尿病および尿蛋白陽性の慢性腎臓病(CKD)に伴う高血圧の第一選択薬となっています。

この薬の主な副作用・使用上の注意点
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬と異なり、キニンの分解を阻止する作用がなく、咳、発疹、血管神経浮腫などが少ないとされます。
・妊婦や重症肝障害患者、アリスキレン(商品名:ラジレス)投与中の糖尿病には禁忌です。
・ACE阻害薬との併用は腎障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあります。
このような症状に気づいたら、また上記以外でも気になる症状が出た場合は、担当の医師または薬剤師に相談してください。


参考:今日の治療薬2019


<監修>
北里大学病院 薬剤部 小林 昌宏先生
薬の服用内容は、患者さん各々の状態によって異なりますので、必ず担当の医師または薬剤師の指示に従ってください。

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