Chapter3 今後の取組みと患者さんへのメッセージ
今後、このクリニックを移植患者さんにとってどのような病院にしていきたいですか。
大学病院に勤務していたときから、「移植患者さんが風邪を引いたときなどにすぐに診てもらえる病院が少ないな・・・」と思っていました。そのために受診が遅れ、病状が悪化するような事例も経験してきました。「移植後に困ったことがあればすぐに相談できる」このクリニックをそのような場所にしていきたいと考えています。
大学病院や総合病院は急性期・重症の患者さん方のために、このクリニックのような病院は安定した慢性期の患者さんのために、お互いが協力しながらフォローアップを行うのが理想だと考えています。長期的にフォローアップするためには、必要な時に、必要な検査がすぐにできて、結果もすぐに分かる、また通院もしやすい場所にある方がいいと思います。患者さんのライフプランに合わせていつでも診療できる病院でありたいと考えています。
北田先生に移植手術をしてもらいたい場合はどうしたらいいのでしょうか。
私を訪ねてピーエスクリニックにお越しください。手術で不在のときもありますので、あらかじめお電話を頂けると助かります。移植手術は聖マリア病院か豊見城中央病院で行い、こちらのクリニックで退院後のフォローアップをさせていただきます。
私はこのクリニックを、移植について分からないこと・不安をたくさん抱えた方々が気軽に相談でき、移植の話をじっくりと聞いてスタートできる場所にしたいと思っています。移植外来は日曜日を除く週6日行っていますので、ご都合に合わせて、このクリニックをいい意味でうまく利用してほしいですね。
週6日やっている移植外来は全国でもあまりないのではないでしょうか。
移植外来に完全に特化しているクリニックでは珍しいのではないでしょうか。担当医が変わることがない、ということも大きな利点だと思います。クリニックのスタッフにも恵まれ、とてもいい雰囲気で診療ができています。このような恵まれた環境で移植医療に関われること、このような場を与えて頂いていることを本当に有難く感じています。この移植外来が、移植患者さんが集える場所になってほしいですね。
先生にとっての移植医療とは何でしょうか。
人生そのものです。大げさなようですが、手術のために生きてきたようなところがあります。ドナーさんも含め多くの方々の命をこの手に預かり、ドナーさんとレシピエントさんの命をつなぐ懸け橋になるわけですから、文字通り“命懸け”なのです。移植外科医としての移植医療(移植手術)はどこかでやめるときがくるとは思っていますが、この移植外来で、移植を受けられた方々と共に歩みながら、より多くの方々、特に一般の方々に少しでも移植医療を理解していただけるような活動を、今後も続けていこうと思っています。
最後にMediPress読者へのメッセージをお願いします。
<移植後の方々へ>
この数年、移植された皆さんと接する機会がめっきり少なくなっていましたが、このクリニックで移植後、元気に過ごされている方々とお会いできるようになったことは、私にとって大きな喜びになっています。これはもう言葉に表せないぐらいうれしいことなのです。このクリニックには、いろいろな意味で、患者さんにこれまでになくより近い距離感で接することができる環境があります。ここで移植後の人生を有意義に過ごしていただくためのサポートができればと思っています。
<移植を考えている方々へ>
移植手術を受けるかどうか?正確な情報がなければ判断のしようがないと思います。しかし、移植について正確な情報を得ることはなかなか難しいというのが実情かとも思います。患者さんやそのご家族に、移植に関する正しい情報(メリット・デメリット、血液型が違っても移植ができること、入院期間、費用など)を理解していただき、その上で患者さんにとって一番いい選択をしてほしいと思います。
移植を検討したいという意向がある場合は、気軽に外来へ相談にお越しください。クリニックの受診には紹介状も必要ありませんので、電話でお問い合わせの上、移植外来を受診していただければと思います。
まさにここは移植のよろず相談所ですね。これまで年間100件の移植手術をされてきた先生に診ていただけるのですから。