Chapter3 今後の取組みと患者さんへのメッセージ

現在、臓器移植科で特に注力されていることや、今後取組んでいきたいことについて教えてください。

剣持先生
いくつかありますが、まずは、1年後に立ち上げる「臓器・組織移植センター」のハード面、ソフト面の準備です。 加えて、臓器提供数増加のための院内での試みとして、救命救急センターの患者さんに、臓器提供に関する患者さんの権利を説明するパンフレットを配る取組みを始めました。
また、愛知県全体で臓器提供数を増やすために、大村知事に特別顧問になっていただき、「NPO法人 臓器提供支援プログラム」を立ち上げる予定です。県全体の臓器提供推進・支援を当院が中心となって行っていこうと考えています。
そして、昨年4月に全国に先駆けて、移植コーディネーターの大学院を開校しましたので、コーディネーターの育成にも力を入れています。現在、8名が第1期の大学院生として学んでおり、私も教官をしています。林さん、渡邉さんもレシピエント移植コーディネーターコースを受講中です。昼間は働き、18時~21時まで勉強していますので、皆さんとても頑張っていますね。

渡邉さん
このような場で改めて勉強できるのは新鮮で、実践しながら学べるのでとても勉強になります。

生体腎移植において今後取り組んでいきたいことはありますか。

剣持先生
生体腎移植はまだまだ増やさなければならないと思います。周辺の透析施設や腎臓内科などへの移植の啓発活動を継続していこうと考えています。

林さん
以前から先生と一緒に周辺の透析施設に訪問し、移植について講演をする機会を頂いていますが、それによって透析施設の先生や看護師さんが、気軽に私に連絡をしていただけるようになるので、改めてこのような活動の重要性を感じています。 また、目の前の患者さんに真摯に向き合っていくことで、新たに当院を受診していただける患者さんが増えると思いますので、目の前の患者さんを大切にしたいと思っています。

曾田先生

會田先生
私も林さんと同じように、今目の前にいる患者さんを大切にし、信頼を得て満足度をあげていきたいと考えています。

ドナーコーディネーターとしては今後どのようなことに取組んでいきたいですか。

西山さん
啓発を継続していくことが重要だと思いますので、特に当院の職員に対する啓発を行っていきたいと思っています。また、県のコーディネーターとしては、県内の一般の方々への啓発や、各施設に訪問し、提供に結びつく働きかけができるようにしたいと考えています。

纐纈さん

纐纈さん
私は現場の先生方のご意見も踏まえた上で、救命救急センターの看護師からも発信ができるようにしていきたいと考えています。 また、現在は初診の患者さんには、臓器提供を望まれるか否かという意思表示をしていただくようにお話をしておりますが、今後は入院の際にも確認できるような仕組み作りをしていきたいと思っています。

肝移植についてはいかがでしょうか。

渡邉さん
移植支援室ができてから、患者さんご自身からの相談のお電話で、移植に繋がることも出てきました。先生と一緒に地域の病院に出向いて交流する場を持ち、肝移植に関しての理解を深めていただく取組みを行いたいと考えています。

剣持先生ご自身は、今後、どのようなことに取組んでいかれるのですか。

剣持先生
日本の移植は、件数は少ないですが成績は世界一です。ドナーが増えれば世界一の医療になります。そのため、臓器提供数を増やし、まずは韓国と同じくらいの提供数にしたいと思っています。韓国も10数年前は日本と同じ状況でしたが、今や、臓器提供数は以前の10倍くらいになっています。日本も現在の5~10倍には絶対にできると思っていますので、学会活動や地域での活動など、色々な活動を継続していきたいと思っています。私自身のライフワークとして、日本の移植医療の発展のためにさまざまな活動をしていきたいですね。

最後に、現在移植を検討されている患者さんやそのご家族に向けたメッセージをお願いします。

林さん
当院で移植に携わる先生および病棟や外来の看護師さんなどのメディカルスタッフは、チームワークがとても良いと感じています。患者さんは、体のケアだけでなく精神面のケアも含めて、満足のいく医療が受けられると思いますので、安心して相談にお越しください。

剣持先生
医師や看護師の連携が取れていないと、患者さんも不安になります。そのようなことがないように、当院では、医師やメディカルスタッフが密に連携を取るようにしています。患者さんの満足度が高い医療が提供できると自負しておりますので、移植を検討されている方やそのご家族は、ぜひ安心して相談に来ていただきたいと思います。

藤田保健衛生大学病院
藤田保健衛生大学病院 移植医療支援室の皆さん