腎移植事典:基本編

腎移植事典:基本編

腎移植を考えるにあたって知っておきたい基本情報をまとめています。これから移植をお考えの方に、特に役立つ内容です。

4献腎移植の流れ

1. 献腎移植の流れ

献腎移植とは何ですか?

献腎移植は、亡くなられた方から腎臓を提供していただく移植のことです。 献腎移植には心臓死からの移植と脳死からの移植があります。

献腎移植を希望する場合の流れを教えてください

まずは(公社)日本臓器移植ネットワークに移植希望登録をします。
そして、透析治療を継続しながら臓器提供候補者が現れるまで待機します。登録後も移植手術の機会が訪れた際に、きちんと手術が受けられるように腎移植を希望する施設で年1回以上の診察と評価を受け、年1回の登録更新を行うことが必要です。
献腎移植希望登録をして実際に腎移植が受けられた方の平均待機期間は約14年7カ月1)となっています。しかし、登録後も90%以上の方が腎移植を受けられずに長期にわたって待機しているのが現状です。
1) 公益社団法人 日本臓器移植ネットワークNews Letter Vol.27.2023

献腎移植の待機期間中にやっておくべきことは何ですか?

献腎移植の機会は突然やってきます。移植の連絡の電話を受けると、30分~1時間程度という非常に短い時間で移植を受けるかどうかを決めなくてはなりません。いつでも手術を受けられるよう、まずは日々の体調管理をきちんと行うことが重要です。普段から風邪などを引かないように心がけ、肥満にならないよう気をつけてください。また、1年に1回は献腎移植を受ける登録病院を受診し、診察と評価を受け、年1回の日本臓器移植ネットワークの登録更新を行うことが必要です。
また、事前に家族や職場の理解を得ておくこと、急な入院に備えて準備をしておくことも大切です。

2. 献腎移植の登録費用

移植希望登録にかかる費用はどのくらいですか?

日本臓器移植ネットワークへの登録料として、下記が必要です。
・新規登録料:30,000円
・年1回の登録更新料:5,000円
いずれも、生活保護世帯または住民税の非課税世帯の場合、所定の書類を提出することにより費用が免除されます。
(公社)日本臓器移植ネットワークHP  https://www.jotnw.or.jp/transplant/wish/

実際に献腎移植手術を受ける場合には、どのような費用がかかりますか?

下記のように、検査・手術・入院費用等がかかります。
しかし、保険や各種医療費助成制度を適用することで自己負担が軽減されますので、一般的にはコーディネート経費(100,000円)を除けば、数万円程度の実費負担で済みます。

<献腎移植手術にかかる費用>
●移植手術にかかる費用
・コーディネート経費:100,000円(臓器移植手術につき、お1人あたり)
・リンパ球直接交差試験用血液搬送費
・臓器搬送費と摘出医師派遣費:通常は0〜数万円程度
※ 療養費として申請すれば還付されます。

●入院にかかる費用
入院費がかかりますが、身体障害者1級による各種助成を受けることができます。個室に入った場合の差額ベッド代等は、別途必要です。

3. レシピエントの選出基準

献腎移植のレシピエントは、どのような基準で選ばれるのでしょうか?

日本臓器移植ネットワークで下記基準に基づき、レシピエント(移植を受ける方)の選択が行われます。
※下記基準は2021年4月1日現在

<前提条件>
1) ABO式血液型 ABO式血液型の一致(identical)及び適合(compatible)の待機者を候補者とする。
2) リンパ球交叉試験(全リンパ球又はTリンパ球)陰性
3) 1年以内に移植希望者(レシピエント)の登録情報が更新されていることを 必要条件とする。 4) C型肝炎ウイルス(HCV)抗体
C型肝炎抗体陽性の臓器提供者(ドナー)から提供された腎臓は、C型肝炎抗体陽性の移植希望者(レシピエント)のみを対象とし、リスクについて十分に説明し承諾を得られた場合にのみ移植可能とする。ただし、肝腎同時移植希 望者(レシピエント)の場合には、C型肝炎抗体陰性の移植希望者(レシピエ ント)も対象とし、慎重に適応を決定したうえで、リスクについて十分に説明 し承諾を得られた場合にのみ移植可能とする。

<優先順位>
1) 搬送時間(阻血時間)
移植希望者(レシピエント)の登録地域は移植希望施設の所在地(都道府県)とする。
2) HLAの適合度
3) 待機日数
4) 無機能腎に関する待機日数の算定の特例
5) 未成年者
16歳未満については14点を加算する。16歳以上20歳未満については12点を加算する。

<具体的選択方法>
適合条件に合致する移植希望者(レシピエント)が複数存在する場合には、優先順位は、以下の順に勘案して決定する。
1) 臓器の移植に関する法律第6条の2の規定に基づき、親族に対し臓器を優先的に提供する意思が表示されていた場合には、当該親族を優先する。
2) 臓器提供者(ドナー)が20歳未満の場合は、選択時20歳未満である移植希望者(レシピエント)を優先する。
3) ABO式血液型が一致(identical)する者を適合(compatible)する者より優先する。
4) <優先順位>の1)~5)の合計点数が高い順とする。ただし、これらの条件が同一の移植希望者(レシピエント)が複数存在した場合には、臓器搬送に要する時間、医学的条件に配慮する。

日本臓器移植ネットワーク 腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準 2021年4月1日改正 https://www.jotnw.or.jp/files/news1/2020/rec-kidney.pdf

監修:湘南鎌倉総合病院 腎移植・ロボット手術センター長 泌尿器科 統括部長 田邉一成先生(情報更新:2024年3月)

腎移植事典:基本編のカテゴリ


腎移植病院情報~全国の病院を紹介します
アクセスランキング

※直近6ヶ月間(2024/6/12〜2024/12/12)の新規掲載記事の中から、直近1週間で最も読まれたトップ3を表示しています。