Chapter2 チームで臨む移植医療

移植内科と移植外科をはじめ、移植医療に関わる多くのスタッフの連携をより円滑にするために、どのような取組みをされていますか。

移植手術と周術期は移植外科医が中心となり、移植手術前や移植後は移植内科医が中心となって患者さんを診ています。そのような役割分担をすることによって、それぞれの患者さんに最適な治療を提供できる体制を整えています。外科医が手術に集中できる環境を作るのも内科医の仕事だと思っています。
また、腎移植チームで毎朝カンファレンスを行い、ときに言い合いになるくらい意見を出し合っています。そこまでやることが、本当の意味での連携だと考えています。毎朝カンファレンスを行っている施設はほとんどありませんので、他施設から研修にこられた先生には驚かれることが多いです。

後藤先生は毎月何人くらいの患者さんを診察していらっしゃるのですか。

1カ月に1,000人弱の患者さんを診察しています。多くの患者さんを診るためには、腎移植の知識にとどまらず、内科医としての能力の向上や知識の蓄積が必要です。

移植後のフォローアップはどのように行っていますか。

当院では、通常のフォローアップ外来の他にも、レシピエント毎に計画的にエコーやCTなどを含めた検査を行い、感染症やがん、心疾患系の異常などの早期発見に努めています。また、薬剤師や管理栄養士が患者さんの自己管理につながる服薬指導や食事指導などを行っています。現在は免疫抑制療法も進歩していますので、移植後1年以上経過すれば、大きな合併症が起こることも少ないです。
また、生体腎ドナーに関しては、術後1年間は年4回、術後1年以降は年1回程度来院していただき、腎機能やメタボリックシンドロームのチェックを行っています。
その他、当院では移植希望者向けの外来、献腎移植待機者向けの外来や、移植後に妊娠を希望している方向けの専門外来も行っています。