日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院

〒466-8650 名古屋市昭和区妙見町2番地の9 MAP
  • 名城線「八事日赤」
    市バス金山12号系統「八事日赤病院」
    市バス栄18号系統「八事日赤病院」
お問い合わせ先

移植内科・移植外科

052-832-1121(代表)

担当者:今井、野畑
(レシピエント移植コーディネーター)

腎臓病総合医療センター 移植内科・移植外科インタビュー

名古屋第二赤十字病院では、1972年に第1例目の腎移植が行われ、2018年末までに生体腎移植1,885例、献腎移植(膵腎同時移植含む)300例、合計2,185例の腎移植が行われています。
移植外科の渡井至彦先生、鳴海俊治先生、移植内科の後藤憲彦先生に、名古屋第二赤十字病院における腎移植医療の特色についてお聞きしました。(取材日2019年6月11日)

移植内科・移植外科の特色

移植内科・移植外科の特色についてお聞かせください。

渡井至彦先生

渡井至彦先生

渡井先生:
まず1つ目は「移植医療に特化した専門家集団」であるということです。移植内科医、移植外科医、レシピエント移植コーディネーター、看護師、薬剤師、検査技師、管理栄養士、臨床心理士など各分野の専門家が1つのチームとなり、毎朝のカンファレンスや日常診療の中で入院・外来患者さんの情報を共有し、適切な治療を迅速に提供できる体制をとっています。また、移植医療を学びたいという若い医師を全国から定期的に受け入れ、教育にも力を入れています。
2つ目は、そのような診療体制のもと、免疫学的、身体的にリスクが高い腎移植(ABO血液型不適合腎移植、抗ドナー抗体陽性腎移植や、糖尿病や冠動脈疾患の合併、70歳以上の高齢者腎移植など)を積極的に行っているという点があげられます。また、低体重(体重10kg以下)小児腎移植も、小児腎臓内科医の協力のもと積極的に行っています。
3つ目としては、新しい治療法の効果を評価する治験への積極的な参加があげられます。新しい免疫抑制薬の臨床試験に積極的に参加することによって、日本の健康保険で使用が認められる前からその薬の特徴と有効性について自施設で検証を行っています。自分たちの経験に基づいて、患者さんの状態や医学的背景に合わせた適切な免疫抑制療法を行っています。

高齢レシピエントや合併症のあるレシピエントの腎移植にも積極的に取り組まれているということですが、高齢レシピエントはどのくらいの割合を占めていますか。

渡井先生:
近年では高齢レシピエントにも安全な手術と免疫抑制療法が可能になったこともあり、当院の腎移植におけるレシピエントの年齢は、2015年以降では、60歳以上が全体の35%、70歳以上が約10%を占めています。ドナーの年齢もレシピエントの年齢に比例して上昇しています。当院の解析では、腎移植前に十分な評価を行えば、移植時の年齢が70歳以上でも、移植後10年の生着率は他の年齢層と変わらないことが分かっています。

原疾患が糖尿病で移植をされる方は増えていますか。

鳴海俊治先生

鳴海俊治先生

鳴海先生:
日本において2017年に透析導入となった患者さんの原疾患としてもっとも多いのは糖尿病性腎症で、全体の42.5%を占めています1))。また、2017年に日本で行われた生体腎移植において、2型糖尿病が原疾患の患者さんの割合は16.2%となっています2))。
当院の腎移植における2型糖尿病患者さんの割合は全国平均より多く、2016年は21%、2017年は28%となっています。免疫抑制薬の影響で移植後に糖尿病は悪化しやすいのですが、内分泌内科と協力して糖尿病の管理を行います。また糖尿病による心血管合併症のリスクを下げるためにも、可能であれば透析を経ない先行的腎移植を行うことが強く勧められています。原疾患が糖尿病の患者さんに関わらず、腎移植を行う場合に最も理想的なのは先行的腎移植であり、現在の当院の先行的腎移植の割合は50%を超えています。(2017年の全国のデータでは22.8%3)
また当院は、全国に18施設ある脳死膵臓移植実施施設(2019年6月時点)のうちの1つであり、年間平均3例、累計22例の1型糖尿病患者さんの膵腎同時移植、腎移植後膵移植を行っています。
日本において2017年末までに膵臓移植・膵腎同時移植を受けられた方の登録日から移植日までの平均待機期間は約3年5カ月4))ですが、中央値をみると2年弱となっています。

1)日本透析医学会 統計調査委員会 わが国の慢性透析療法の現況(2017年12月31日現在)
2)、3)日本臨床腎移植学会・日本移植学会 腎移植臨床登録集計報告(2018)
4)(公社)日本臓器移植ネットワーク News Letter Vol.22 2018

こちらでは、2017年4月に日本で初めて「移植内科」を開設されていますが、移植内科の取組みについてお聞かせください。

後藤憲彦先生

後藤憲彦先生

後藤先生:
免疫抑制薬の進歩などにより、免疫学的にリスクが高くても、高齢や糖尿病、冠動脈疾患を合併していても腎移植が可能となり、現在では腎移植ができないCKD患者さんはほとんどいらっしゃいません。そのため、移植手術とともに、移植手術前の患者さんの評価や移植後の長期的なフォローアップが重要になっており、移植チームにおける内科医の存在が必要になってきています。そのような状況の中、当院では移植内科開設以前より、移植手術と周術期は移植外科医が中心となり、移植手術前や移植後は移植内科医が中心となって患者さんを診ることにより、それぞれの患者さんに最適な治療を提供できる体制を整えています。
また、より多くのCKD患者さんが腎移植の機会を得られるよう、移植内科開設以前より、腎臓内科や透析病院などの連携病院との関係構築や、地域における移植勉強会を実施しています。加えて、当院の腎移植チームのスタッフが現在の腎移植医療について分かりやすく解説した『腎移植 あなたの疑問にすべて答えます2018』の出版などを通じて、CKD患者さんに広く移植医療への窓口を開くための取組みを行っています。

移植希望者向けの外来ではどのような話をされますか。

後藤先生:
まずレシピエント移植コーディネーターが患者さんの状況や疑問などをお聞きする時間を取らせていただき、その後、移植内科医が、患者さんとそのご家族に対し、それぞれの患者さんのライフプランに合わせたCKD治療のタイムテーブルについてじっくりとお話ししています。例えば腎移植を選択した場合、移植した腎臓がどのくらいもつのか、移植した腎臓が機能しなくなってしまった後にはどのような治療選択肢があるのかという話まで、すべてをお話しした上で、患者さんとそのご家族に治療法を選んでいただくようにしています。そのため、患者さんやそのご家族は納得して腎代替療法の治療選択ができるようになっています。

移植後のフォローアップはどのように行われていますか。

後藤先生:
通常のフォローアップ外来の他にも、レシピエント毎に計画的にエコーやCTなどを含めた検査を行い、感染症やがん、心疾患系の異常などの早期発見に努めています。また、薬剤師や管理栄養士が患者さんの自己管理につながる服薬指導や食事指導などを行っています。現在は免疫抑制療法も進歩していますので、移植後1年以上経過すれば、大きな合併症が起こることも少なく、皆さんQOLの高い生活を送られています。
また、生体腎ドナーに関しては、術後1年間は年4回、術後1年以降は年1回程度来院していただき、腎機能やメタボリックシンドロームのチェックを行っています。
その他、当院では、先ほどお話しした移植希望者向けの外来、献腎移植待機者向けの外来や、移植後に妊娠を希望している方向けの専門外来も行っています。

現在、初診から生体腎移植手術までの期間はどのくらいでしょうか。

後藤先生:
患者さんやドナー候補の方の状況によっても異なりますが、移植の相談に来られてから実際の移植手術までは大体3~4カ月です。

移植を検討されている患者さんとそのご家族に向けて

渡井先生:
当院では豊富な腎移植実績と、安全に移植を行うための術前・術後管理、移植手術の技術向上や、移植前後のレシピエントやドナー、そのご家族のフォローアップを十分に行える人員と体制が整っています。安心して相談に来ていただければと思います。

鳴海先生:
腎移植とともに、腎不全を合併した1型糖尿病の患者さんに膵腎同時移植、腎移植後膵移植もコンスタントに行っています。移植後、糖尿病の合併症である神経障害などが回復するにはしばらく時間がかかりますが、移植を受けることによって多くの患者さんのQOLが改善し、職場復帰が可能になる方も多いです。移植を検討されている方は、ぜひ相談に来ていただきたいと思います。

後藤先生:
CKD治療は患者さんとそのご家族が主役です。腎移植に限らず、血液透析や腹膜透析でも、ご家族の協力がなくては治療を行うことはできません。私たちは、常に患者さんとご家族と一緒に、皆さんが納得できる治療選択ができるように診療しています。まずは安心して相談にお越しください。

移植件数

腎移植件数

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
生体腎移植 106 112 96 103 102
献腎移植 7 10 8 5 11
合計 113 122 104 108 113

移植チーム紹介

移植チーム 写真

移植外科 医師

  • 友杉 俊英
  • 岡田 学
  • 平光 高久
  • 鳴海 俊治
  • 渡井 至彦

移植内科 医師

  • 神田 亜希子
  • 二村 健太
  • 後藤 憲彦

腎臓内科 医師

  • 新城 響
  • 大塚 康洋
  • 武田 朝美

小児腎臓科 医師

  • 真島 久和
  • 笠原 克明
  • 後藤 芳充

総合内科

  • 佐藤 哲彦

レシピエント移植コーディネーター

  • 野畑 真由美
  • 今井 美登子

薬剤師

  • 安田 知弘

検査技師

  • 坂本 慎太郎
  • 濱口 孝子
  • 深見 晴恵

治験コーディネーター

  • 加藤 康子

血液浄化センター

  • 岩井 布美子
  • 板脇 大輔
  • 中川 星明
  • 熊澤 マサ子
  • 高木 茂樹

臨床心理課

  • 高橋 真悠
  • 寺田 愛子
  • 大槻 貴子

医療社会事業課

  • 森 健

診療支援課(医療秘書)

  • 田代 杏奈
  • 杉浦 鮎
  • 安井 彩華
  • 宮澤 美帆
  • 今井 菜緒子

栄養課

  • 畠山 桂吾

手術室

  • 松下 雄太朗
  • 浅井 謙一
  • 隅 智子
  • 吉田 紀子
  • 新美 志穂
  • 椿井 誠幸

病棟 (看護師)

  • 西川 朋子
  • 松崎 有里子
  • 野村 典子
  • 服部 麻紀
  • 稲熊 万弓

受診について

生体腎移植希望の方

腎移植についてのご相談は「移植希望外来」で対応しています。
初診のご予約は、地域医療連携センター医療機関様より承っておりますので、患者さんご自身からのご予約は受け付けておりません。予めご了承ください。

お問い合わせ先

移植内科・移植外科

052-832-1121(代表)

担当者:今井、野畑(レシピエント移植コーディネーター)

【受付時間】9:00~16:30

受診の方法

医療機関様から地域医療連携センターへご連絡の上、ご予約ください。

献腎移植希望の方

お問い合わせ先

移植内科・移植外科

052-832-1121(代表)

担当者:今井、野畑(レシピエント移植コーディネーター)

【受付時間】9:00~16:30

受診の方法

透析施設などの医療機関様から地域医療連携センターへご連絡の上、ご予約ください。

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 関連記事