上げ膳据え膳

そして手術を無事に終えられたわけですが、手術の痛みは、どのくらいの間続きましたか。

君枝さん:
術後3~4日ぐらいでした。2日目がとても痛くて、何度も痛み止めの薬をもらいました。それでも効かなかったので、寝かせてもらうのが一番いいと思い、催眠鎮静剤をお願いしましたね。退院してからは、家事をしていると痛みのことを忘れていましたが、夜寝る時には思い出し、少し痛くて、それが1週間くらい続いたように思います。

入院中、痛み以外でつらかったことはありましたか。

君枝さん:
困ったことやつらかったことは何もありません。むしろ、家事もしないで「上げ膳据え膳」でゆっくり休めて良かったです(笑)。家にいたら、炊事や家の中や外の掃除など、何かとバタバタしていますから。入院中は寝ていればご飯が出てきたので、こんなに楽なことはないですよね(笑)。当時は病院での食事は病室ではなくて、皆さんと一緒に食堂に行って、ワイワイお喋りをしながら食べていたのです。これから移植する人も、すでにした人も、そこで仲良くなりました。今は、各部屋での食事になっているようですが、以前のようなコミュニケーションがないのは少し寂しいなと思います。

臓器提供時は、どのくらいの期間入院しましたか。また退院後、いつごろから日常生活に復帰されましたか。

君枝さん:
2週間入院をして、退院後1週間くらいから日常生活に復帰しました。


晴れ晴れとした気持ちになって

臓器提供後からこれまで、体調面でつらかったことはありましたか。

具島さん

君枝さん:
つらかったことは一度もありません。娘に対する心配が無くなり、かえって体調が良くなった気がします。透析中は、「あれも気を付けなさい、これも気を付けなさい」と言いながら、家族がみんな、娘に対して腫れ物に触るような感じでしたから、それがなくなったというだけで、もう、「バンザーイ!」というような感じです(笑)。今までは暗い気持ちだったのが、気持ちが晴れ晴れとしてきて、そうしたら、「これから何をしようか」と前向きな気持ちになりました。

臓器提供後からこれまで、ドナー検診以外で入院や通院はありましたか。

君枝さん:
この10年間一度もありません。「腎臓は1つになっても、2つ分頑張って働いてくれる臓器なのだな」と感じていますね。

臓器提供後、特に気を付けてきたことがあれば、教えてください。

君枝さん:
水分をしっかり取ること以外は、普通に生活してきました。また、半年に1度のドナー検診と、年に1度の市の健康診断は定期的に受診しています。後は、がん検診も受けていますね。