世界中から移植を受けた方々が集まり2年に1回行われるスポーツの祭典、世界移植者スポーツ大会が、2017年6月25日~7月2日にかけて、スペインのマラガにて開催されます(スペイン大会公式HP)。大会に参加される10名の日本チームの選手の皆さんに、移植後のスポーツの魅力や、世界大会に向けての意気込みをお聞きしました。
世界移植者スポーツ大会 チームドクター 丸井祐二先生のインタビューはこちらから
菊地 咲帆さん 7歳 移植後4年7カ月(心臓)
■世界移植者スポーツ大会への参加歴
初参加です。
■今回の参加種目
ボウリング(Jr.シングルス)、陸上競技(50m(6~11歳の部)、ボールスロー、ロングジャンプ)
■今回の世界移植者スポーツ大会への意気込み
(参加者が7歳ということもあり、ご両親から回答を頂きました)
両親から娘に対して「世界移植者スポーツ大会に参加することへの期待」
移植を受け、ドナーと共に生きているのは自分だけでは無いということを知り、移植を受けた事に自信を持って生きてほしい。世界を知ることが未来の娘の自信につながることを願い参加を希望しました。
普段の生活の中では移植を受けて生活をしている子供は本人しかおらず、周りの環境の中で特異として見られている傾向があり、特別扱いを受けている娘。
成長と共に知恵も付き、近頃では「私は障害児」と自分自身を呼び、他の子供とは何かが違うという事に気がついてきた様子が見受けられます。障害が有ることにまだ優劣を感じている訳では無く、ただ自分のプロフィールには「障害」という言葉がついていて、他の子供達と何かが違うと漠然と感じているだけなのですが、これからの成長の中で本人が自身の状況をどう受け入れるかが課題となると思います。その時期を娘が迎えた時、幼い頃の経験から自分はこんな存在と自然に受容し、自分が存在することに自信を持って生きる力を付けてほしいと願い、参加を希望しました。
堀井 敬太さん 15歳 移植後1年9ヵ月(心臓)
■世界移植者スポーツ大会への参加歴
初参加です。
■今回の参加種目
ボウリング(Jr.シングルス)、水泳(Jr.50m自由形)、陸上競技(Jr.100m)
■参加種目の経験年数
水泳は5~6年、陸上は体育の授業で経験した程度です。
■スポーツとの出会い
水泳は移植前、病気になる数日前まで、選手として週4~5日、日に3000m程泳いでいました。移植後は約1年後からスポーツを再開しました。
■参加種目の魅力
慣れ親しんできた水の感覚です。
■今回の世界移植者スポーツ大会への意気込み
スポーツは苦手な方ですが、ベストを尽くします!
若松 力さん 61歳 移植後3年6カ月(腎臓)
■世界移植者スポーツ大会への参加歴
初参加です。
■今回の参加種目
水泳(自由形50m、自由形100m、自由形200m、自由形400m、バタフライ50m)
■参加種目の経験年数
小学校6年生から50年間(12歳~62歳の現在まで)
■スポーツとの出会い
<移植前>
小学校6年生のころ、高校3年生の姉が水泳では県でもトップクラスの高校に通っていたため、その影響で水泳を始めました。その後、市内の水泳大会で優勝したのをきっかっけに高校の監督から「うちで泳いでみないか」と言われ、高校生のお姉さんたちに交じって練習をしていました。それから中学、高校、大学と水泳を続け、社会人になってからも若干のブランクはありましたが、腎機能悪化により泳げなくなる5年前の55歳まで続けました。
<移植後>
1カ月の入院で10kg体重が落ちましたが、移植手術6カ月後から泳ぎ始め、今では週3~4回、2000m/日のトレーニングができるようになりました。
■参加種目の魅力
トレーニングの成果がタイムに正直に反映されること、水泳仲間との交流などです。
■今回の世界移植者スポーツ大会への意気込み
自由形4種目(50m、100m、200m、400m)と50mバタフライを合わせた5種目すべてで60歳区分の世界新記録で優勝することです。
渡邉 源喜さん 43歳 移植後8年3カ月(心臓)
■世界移植者スポーツ大会への参加歴
初参加です。
■今回の参加種目
ペタンク(ダブルス)
■参加種目の経験年数
未経験です。今回、初めて実際にプレーします。
■スポーツとの出会い
移植前は、全くスポーツをしたことがありませんでした。中学生のころから、体育祭の入場行進さえも見学でした。ですが、サッカー日本代表の試合をスタジアムで観戦するなど、スポーツに触れること自体は好きでした。 自分がプレーするものとしてのスポーツに初めて出会ったのは、移植手術後、全国移植者スポーツ大会に参加したことがきっかけです。
移植後は、術後退院した直後からウォーキングを始めました。
■参加種目の魅力
今回参加するペタンクは、幅広い層の人たちが楽しめる競技だと聞いています。自分が世界大会に初参加するにあたり、プレーすることが楽しみな競技です。
また、スポーツをしている時間は、移植を受けられたことで元気になれたことを実感できて、感謝の気持ちで心がいっぱいになる素晴らしい時間になっています。
その上、気分が明るくなるし健康にもいいし、様々なメリットと楽しさを与えてくれるものだと感じています。
■今回の世界移植者スポーツ大会への意気込み
今回、日本チームの一員として参加できることをとても嬉しく、また、光栄に思います。チームのメンバーとの絆を深めるとともに、世界から集う移植者と広く交流したいと考えています。
開催地スペインの地での時間を心行くまで満喫したいと思います。
落 貫男さん 66歳 移植後15年9ヵ月(心臓)
■世界移植者スポーツ大会への参加歴
2回目です。これまでにスウェーデン大会に参加しました。
■今回の参加種目
ダーツ、ボウリング(男子ペア)
■参加種目の経験年数
ダーツは、国内のスポーツ大会で羽を触る程度のものです。
■スポーツとの出会い
スポーツとは程遠い?生活です。退院後は毎日欠かさず散歩をするように心がけています。
■参加種目の魅力
身体に負担があまり掛からないで楽しめるスポーツというところです。
■今回の世界移植者スポーツ大会への意気込み
「参加すること」に意義があると思います。
市川 奈々枝さん 21歳 移植後19年8カ月(肝臓)
■世界移植者スポーツ大会への参加歴
4回目です。これまでに、タイ、オーストラリア、アルゼンチン大会に参加しました。
■今回の参加種目
バドミントン(シングルス・ミックスダブルス)、ボウリング(シングルス)
■参加種目の経験年数
6年
■スポーツとの出会い
移植は2歳のときに受けたので、前後変化はありません。他の人がやっている姿を見て、私もやりたいと思ったのがきっかけです。移植後、小学校では水泳、中学では陸上 、高校ではバドミントンと、ずっとスポーツをしています。
■参加種目の魅力
楽しい、面白い、世界共通ルールなので、誰とでもプレーできます。
■今回の世界移植者スポーツ大会への意気込み
スペインという異国の地でとても楽しみです。さらに強くなって挑みたいと思います。
倉田 雄介さん 37歳 移植後13年(腎臓)
■世界移植者スポーツ大会への参加歴
5回目です。これまでにカナダ、タイ、オーストラリア、アルゼンチン大会に参加しました。
■今回の参加種目
バドミントン(シングルス・ミックスダブルス)
■参加種目の経験年数
18年
■スポーツとの出会い
移植前、高校時代の顧問の先生が、病気のことを関係なしに、バドミントンを教えてくれたことです。その後、透析中も部活をしていました。
■参加種目の魅力
シャトルを打つことが楽しいです!また、ラリーすると楽しいです!
■今回の世界移植者スポーツ大会への意気込み
記念すべき5回目の参加で、外国の友人にも会ってバドミントンを楽しみたいです。
戸塚 仁さん 48歳 移植後19年(腎臓)
■世界移植者スポーツ大会への参加歴
8回目です。これまでに、日本、フランス、カナダ、タイ、オーストラリア、スウェーデン、アルゼンチン大会に参加しています。
■今回の参加種目
テニス(シングルス)、陸上競技(100m、200m)、ペタンク(ダブルス)
■参加種目の経験年数
テニス 16年、陸上競技 10年、ペタンク 2カ月
■スポーツとの出会い
<移植前>
小学生の頃から走ることには自信があり、中学、高校では陸上競技部に在籍していました。中学時代は長距離でしたが体調の問題で不振となり、短距離に転向しました。
<移植後>
移植3カ月後に、主治医から就職のために体力をつけるように言われ、運動を始めました。
2001年の神戸大会後にはテニススクールに通い始めました。世界大会では陸上競技は終盤に行われるため、それまでの時間、暇を持て余していました。そこで、他の種目について練習を始めることにしました。当時32歳、入門初級クラスでラケットの握り方から教わりましたが、球技は苦手でサーブが打てるか心配していました。
■参加種目の魅力
<テニス>
インドアのスクールもあり、天候を問わず初心者から始められる競技です。競技レベルが上がるとハードになりますが、楽しく奥の深い競技です。
<ペタンク>
700gの金属製のボールを相手ボールよりビュット(目標球)に近づけるかを競う競技です。参加するには公認球(1万円程度~)を購入する必要がありますが、体への負荷が少ない競技です。
■今回の世界移植者スポーツ大会への意気込み
年齢別クラスでは上から2番目の高齢となり、陸上競技で良い成績を残すのは厳しそうですので、テニスで良い成績が残せればと考えています。また、参加選手が不安のないようサポートを行いたいと思います。
仲里 則男さん 54歳 移植後18年7ヵ月(腎臓)
■世界移植者スポーツ大会への参加歴
4回目です。これまでに、日本、カナダ、タイ、オーストラリア大会に参加しました。
■今回の参加種目
ボウリング(シングルス・男子ペア)、ボールスロー
■スポーツとの出会い
もともと体育大学出身でスポーツが大好きで、移植後もスポーツを通じて移植の凄さ、素晴らしさを身をもって経験する事によって、社会貢献できれば嬉しいと思っています。
移植後も半年経過後くらいからスポーツを再開しました。
■参加種目の魅力
ボウリングは週に2~3回、約10年やっています。家族でリーグをしながら、家族の絆とボウリングでいつも話が盛り上がり、とても楽しいです。
ボールスロー(ボール投げ)は学生時代にハンドボールをしていた為、肩が少し強い方だということもあり、今まで世界大会ではほとんどメダルを取っている種目なのでエントリーしています。
■今回の世界移植者スポーツ大会への意気込み
現在、急に練習に励み過ぎて、肉離れになってしまい13日になりますが、なかなか治りません。大会までには治して万全な体調で望み、楽しい思い出に残る大会にしたいと考えています。
下野 浩さん 69歳 移植後28年4カ月(腎臓)
■世界移植者スポーツ大会への参加歴
5回目です。これまでに、ハンガリー、タイ、フランス、オーストラリア大会に参加しました。
■今回の参加種目
卓球(シングルス)、ダーツ
■参加種目の経験年数
卓球(半年):以前職場で同好会に入っていました。
ダーツ:国内大会で行う程度です。自宅で練習はできます。
■スポーツとの出会い
移植後1年くらいから、身体を鍛え、集中力を養うために主治医と相談して始めました。
■参加種目の魅力
自分ができる種目を選んで、参加する。運動を行うことで気分転換が図れることです。
また友達の輪が広がります。
■今回の世界移植者スポーツ大会への意気込み
久方ぶりの参加です。まずは楽しむこと、参加することを第一に、体調に気遣いながら頑張りたいと思っています。
■日本チームの情報はこちらから
日本チームの情報は、ブログやfacebookでも確認できます。ぜひチェックしてみてください。