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巡ってきた機会

献腎移植の連絡を受けた時はどのようなお気持ちでしたか。

林さん：
まさかと思いました。九州大学病院に行き、先生からお話を聞くまで信じられませんでした。

それまでにも移植の連絡をいただいたことはあったのでしょうか。

林さん：
1回連絡をいただいており、2回目の連絡で手術となりました。連絡をいただいた時、最初は私の携帯に電話があったのですが、車の中に置きっぱなしにしていて、気付きませんでした。そのため、第二連絡先となっていた私の母親のところに電話があり、母親から連絡をもらいました。すぐに九州大学病院に電話をすると、先生から、「すぐに病院に来られますか？」と言われたので、次の日の朝一番の飛行機で、鹿児島から九州大学病院まで行きました。

手術当日の朝、初めて北田先生にお会いした時のことを覚えていらっしゃいますか。

林さん：
はい、覚えています。先生がいろいろな説明の後、「安心して我々に任せてください。」と言ってくださり、とても心強く感じて、この先生だったら信頼できると思いました。手術経験が非常に豊富な北田先生とお会いできて、とても運が良かったと思います。先生のおかげで、こうやって元気になれましたから。

奥様：
当時は、鹿児島ではあまり腎移植手術は行われていませんでしたので、九州大学病院でいろいろなお話をお聞して、「すごいなぁ、ここでは腎移植が日常茶飯事なんだ」と思いましたね。

手術は、何時ごろから始まったのですか。

林さん：
午後2時くらいです。手術は急に決まったので、妻も買い物に出ており、戻ってきたのが手術室に入る時でした。ですから、妻と話をすることもできず、ただ顔を見て、「行ってくる」と言うだけでしたね。心の中では、「頑張るぞ」と言っていましたが（笑）。

移植手術を終えた時の心境を教えてください。

林さん：
これで週3回の透析をしなくてすむ、食事制限や水分制限などから解放される、と思うと、夢のような気持ちで、とてもうれしかったです。

手術後の経過はどうでしたか。

林さん：
とても順調で、拒絶反応も全くありませんでした。熱も出ないし、風邪も引いていません。薬の副作用も全くありませんでした。

北田先生：
皆さん大なり小なり何かあることが多いのですが、林さんは本当に何もないですね。

入院期間はどのくらいでしたか。

北田先生：
林さんの入院期間は3週間くらいでした。献腎移植の場合は、最初は透析をしなければならないこともありますので、3週間の入院期間というのはすごく短いですね。林さんはお会いするたびに元気になっていき、若返っていく感じです(笑)。肌つやも、とてもいいですね。

林さん：
これからもっと元気になりたいですね(笑)。いろいろな新しい出会いがあるかもしれないですから。

スイカが食べられる幸せ

移植をしてから一番良かったこと、うれしかったことはどのようなことですか。

林さん：
再就職できたことです。透析をしていたころは、森林組合に勤めており、間伐などを行うために、山の様子を一人で確認しに行くこともありました。しかし、長年透析を続けていると、体力が無くなってきて、そのような仕事がだんだん苦痛になってきたのです。一人で回る仕事でしたので、「もし山で倒れてしまったら、どうしたらいいのだろう」と思い、内勤の事務職に代えてもらいました。でも、それもきつくなり、結局、20年勤めた後に辞めてしまいました。その後、精肉会社に勤めたのですが、冷凍庫の中で作業することもあり、血圧が高くなるなど体調が悪くなったため、退職しました。それが移植の8年前で、その後移植手術までは、妻が外で働き、私は家事をしていました。

奥様：
主人は、ちょうど仕事をしていない時期に移植のお話をいただいたので、「時間の自由がきく今、手術ができて良かった」と思いましたね。

林さん：
移植後は、自宅の近くに大手のスーパーができましたので、その店舗の夜間の店長として働いています。立ち仕事なのできついですが、楽しいですね。
あと、移植して良かったことは、水分が取れることと、果物が食べられることです。特にスイカが食べられるようになったことはうれしいですね（笑）。