走る喜び

移植後、お母様に対しては何か特別にイベント等は行っていますか。

小泉さん
移植前後で、特別なことは何もしていません。ただ、実家までは職場から歩いて行けますし、自宅からでも車で15分くらいなので、母の日や、母の誕生日には、実家に顔を出したりしますね。

移植をしてから一番良かったこと、うれしかったことはどのようなことですか。

小泉さん
フルマラソンを走れるようになったことですね。それと、重い疲労感から脱け出すことができ、仕事も全力でできるようになったことです。


渋谷先生
小泉さんとは毎年テレビ高知健康マラソンでお会いするのですが、私がドタドタと走っていると、その横をスーッと走り去っていかれます(笑)。きれいなフォームで軽々と。

もともとマラソンは走っていらっしゃったのですか。

小泉さん
いいえ、移植後に始め、最初にフルマラソンを走ったのが移植後4年たったころの2000年でした。馬路村(高知県)で開催される「おらが村・心臓やぶりフルマラソン」で、タイムは3時間27分でした。

最初のフルマラソンでその記録とは、とても速いですね!

小泉さん
自己ベストは、宮崎県で行われている「青島太平洋マラソン」の2003年の大会で、3時間15分でした。もう少し自慢させていただくと(笑)、2011年の東京マラソン移植男子の部(10㎞)では参加者50人中3位でした。マラソン大会には、毎年1回は出ており、これまで、東京マラソンに2回、大阪マラソンに3回、那覇マラソンに4回、宮崎の青島太平洋マラソンに4回出場しました。マラソン大会に参加することで、とてもやりがいを感じますし、自分が元気だということを自覚しています。


東京マラソン


すごいですね。全国の移植者の中でも、フルマラソンでそこまでのタイムを出されている人は、それほどいらっしゃらないと思います。

小泉さん
ただ、原因は分からないのですが、走り過ぎたりすると、検査数値が少し悪くなったりすることがありますので、そのような場合は、練習をセーブするようにしています。

練習をセーブすると、数値も元に戻るのですか。

小泉さん
はい。詳しいことはよく分かりませんが、元に戻りますね。また、昨年に走り過ぎて、半月板を損傷して手術をしたため、今はあまり走れないので、妻と一緒に歩いています。

なぜここまでのタイムが出せるようになったのでしょうか。

小泉さん
最初は本当に、「運動してみたいな」という軽い気持ちで、走り始めました。仕事先に私と同年代で2時間40分くらいのタイムで走る人がいらっしゃるのですが、その人に誘われて一緒に走り始めたら、「ものすごい世界があるのだな」と感じました。彼らは月間300kmくらい走るんですよ。私は2日に1回くらいの頻度で5km 程度走り、土日は彼らと一緒に20kmくらい走っていました。

先生、マラソンを走ることは、腎臓のためにもいいのでしょうか。

渋谷先生

渋谷先生
脚を動かすことは、いいことだと思います。しかし、あまりやりすぎると、筋肉が壊れてしまいますので、腎機能にも少し影響があるかもしれません。

小泉さんはこれまで、とてもよい配分で走られていたのかもしれませんね。これから移植を受ける人にとっても大きな励みになりますね。

小泉さん
移植前の20代後半から30代前半までは、疲れやすかったこともあり、ずっと運動もできませんでしたので、その反動で、その時の分を解消するがごとく走ってきたのだと思います。