熊本赤十字病院 レシピエントインタビュー第5回目は、熊本県腎移植者の会の事務局長である鍋田明徳さん(移植歴28年)と副会長の尾山清司さん(移植歴11年)、そして熊本赤十字病院腎移植チームの先生方に、熊本赤十字病院における腎移植の現状や、患者会の活動とその活用方法などについてお聞きしました。
鍋田さんが移植を受けるまでの経緯
- 1969年頃(9歳頃) 蛋白尿を指摘され通院しはじめる
- 1989年(29歳) 突然腎不全の症状が現れる
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1989年(29歳) 血液透析導入
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1990年(29歳) 生体腎移植手術
尾山さんが移植を受けるまでの経緯
- 1981年(26歳) 職場の健診で蛋白尿を指摘される
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1999年(44歳) 血液透析導入
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2007年(52歳) 生体腎移植手術
移植までの経緯
まず、お二人はいつ頃腎移植を受けられたのですか。
鍋田さん:
私は幼い頃から腎臓が悪く通院していたのですが、特に生活の制限をされることもなく、学生生活を送り、社会人になりました。29歳のときに末期腎不全の状態となり、突然の透析導入となりましたが、透析導入と同時に腎移植を勧められ、導入から約1カ月で母がドナーとなり、熊本赤十字病院で腎移植を受けました。こちらの病院の7例目の腎移植でした。
28年前に透析導入と同時に腎移植を勧められたというのはすごいですね。
鍋田さん:
偶然、父の友人が兄弟間で腎移植をされていて、以前から腎移植について知っていましたし、その友人の方が移植後も元気に仕事をされていたので、父からは、「もし透析導入になったら、俺が腎臓をやるけんね」と言われていました。
上木原先生:
鍋田さんの移植の時には、とにかくドナーのお母様が一生懸命でしたね。小さいころから腎臓が悪かったので、なんとかしてあげたいという思いが強かったのだと思います。
熊本赤十字病院では、当時から透析と同じように腎移植について患者さんにしっかりと説明していたのですか。
上木原先生:
そうですね。当時から、もし腎移植が可能な患者さんなのであれば、移植が3つの代替療法の中でベストだと考え、患者さんにお伝えしていました。
尾山さんはどのような経緯で移植されたのですか。
尾山さん:
私は26歳の時に職場の健康診断で蛋白尿を指摘され、再検査を受けた病院で慢性腎炎と診断されたのですが、当時は特に症状はありませんでした。その後15年以上、透析導入の半年位前まで普通に生活していました。透析導入の2カ月くらい前に人間ドックを受けたところ、腎機能が悪化していることが分かり、44歳の時に血液透析導入となり、52歳の時に妻がドナーとなって生体腎移植を受けました。
透析導入後、どのようなきっかけで腎移植を知ったのですか。
尾山さん:
透析病院の患者会の役員となり、代表として熊本県腎臓病患者連絡協議会(熊腎協)の会議に出席するようになったのですが、その中で腎移植の話を聞くようになり、夫婦間で腎移植をされた方の話を聞いて、夫婦間でもできるということを知りました。
それで妻に、移植をしたら透析をしなくていいことや、飲水量や食事の心配をしなくていいことなどを話し、ドナーになってくれるかどうか聞いたと思います。