痛みを乗り越えて
そして無事に移植手術を終えられたわけですが、その時の心境を教えてください。
友永さん:
手術が終わった直後は、無事に終了したことと、母も無事に戻ってきていることを知り、安心したとともに、体がきつくて、痛くてたまりませんでした。透析中もきついと感じることはなかったので、私は痛みに強く我慢強い方だと思っていたのですが、術後は本当に耐えられないくらい痛くて、吐き気もあり、何度もナースコールをしてしまいましたね(笑)。ICUにいた3日間は看護師さんにかなりお世話になりました。母も会いにきてくれたのですが、私は痛さのあまりうつろな感じで、「ありがとう、ありがとう」と言っていたようです。
一般病棟に移った後は、ちょうど、私以外にも、移植手術前後の女性が3人いらっしゃったのですが、私ともう1人の若い方は、「痛かったね」と話していたのですが、もう少し年配の2人は、「痛くなかったよ」と言っていたので、「私たちは出産経験がないから痛かったのかな?」と話していましたね(笑)。
その後、徐々に痛みも治まり、体はまだむくんでいましたが、検査で腎機能の数値が改善しているのを見て、すごくうれしかったのを覚えています。
退院後の経過はどうでしたか。
友永さん:
術後は順調に回復し退院したのですが、手術から3カ月後に膀胱炎から腎盂腎炎となってしまいました。戸田中央総合病院の先生からは、「何かあったらすぐに直接電話してください」と言われていたのですが、その時は熱が出て吐き気がしたので、風邪かと思い、まずは大分記念病院で診察を受けることにしたのです。結局、大分記念病院から戸田中央総合病院に連絡が行き、「腎盂腎炎なので抗生剤を投与してください」と連絡が来たのが、熱が出てから2~3日後になってしまいました。自分で直接電話して指示をもらっていれば、もう少し早く対応できたと思うので、とても反省しています。腎盂腎炎になったことによってクレアチニン値が今も1mg/dl以上に上昇したままですが、その後は悪化することなく経過しています。
先生、移植後の女性患者さんで膀胱炎になる方は多いのでしょうか。
東間先生:
わりと多いですね。膀胱炎を予防するためにも、水分をきちんと取り、しっかりと尿を出すことが大切です。そして38度以上の発熱などの症状がある場合には、すぐに移植施設に連絡するようにしてください。
幸せで充実した日々
移植後、お母様に対しては何か特別にイベント等は行っていますか。
友永さん:
移植後1年目の手術を受けた日に一緒に食事に行き、母はとても喜んでくれました。その後は特に決まったことはしていませんが、時々食事に出掛けていますし、今後は旅行などに誘おうと思っています。
移植をしてから一番良かったこと、うれしかったことはどのようなことですか。
友永さん:
まずは、むくみや貧血、高血圧、肌荒れが改善したことです。また、腎不全が進行してからは、どんどん肌がくすみ、ニキビもたくさんできていたのですが、透析導入後に少し肌の色が白くなり、移植後はさらにまた白くなりました。母も、「やっと元の肌色に戻ったね」と言っていました。
また、元気になって仕事に復帰できたこともとてもうれしかったです。職場の皆さんには私が透析中も移植手術を受けた時にも、たくさん支えていただき、本当に感謝しています。移植手術のために入院していた時には、職場の上司、同僚、友人たちから励ましの言葉と千羽鶴を頂きました。忙しい仕事の合間に鶴を折ってくれたと思うと、とてもありがたく思い、涙が出ました。
移植後の日常生活では、移植腎のために特にどのようなことに気を付けて生活をしていますか。
友永さん:
食事に関しては、塩分やたんぱく質を取り過ぎないように気を付けています。また、看護師という仕事柄、移植腎を圧迫することがないように、そして、風邪や感染症をうつされないように注意しています。
日常の服薬や、血圧・体重等の記録はどのような方法で行っていますか。
友永さん:
血圧・体重は、退院後しばらくは毎日測定していましたが、現在は月1回の検診時に測定しています。
服薬に関しては、現在私は病棟看護師として勤務しており、夜勤は免除していただいているのですが、早出遅出があり生活が不規則なので、必ず2時間以内のずれで収まるように飲んでいます。
移植後、新たに始めたことや、今後の夢はありますか。
友永さん:
透析導入する前は、親友と一緒に国内旅行をしたり、海外にも1度だけ、インドネシアのバリに旅行しました。
透析導入の直前にも親友と台湾旅行を予定していたのですが、ドクターストップがかかって行けなくなってしまいました。親友の子育てが一段落したら、また一緒に国内、海外いろいろなところに行きたいと思います。