腎移植後に飲酒をする機会は少なくないと思われますが、皆さんいかがして過ごされていますか?

忘年会や新年会のシーズンともなると腎移植後の飲酒が問題ないかどうか、相談をされる機会も多くなりますが、基本的に腎移植後に飲酒することは問題ありません。
ただし、一般的な飲酒の問題点については同じで、飲酒が望ましくない状況があります。
飲酒が問題となるのは、ひとつにはカロリーの問題です。アルコールは非常にカロリーが多く基礎疾患に糖尿病などがある場合は飲酒は基本的には良くありません。勿論、なんらかの理由で肝臓の障害などがあるときも、言うまでもありませんが飲酒は厳禁です。

それよりも飲酒で一番問題になるのは飲酒後に夜の分の免疫抑制剤の内服を忘れてしまって、そのまま寝てしまうことです。実は、飲酒による飲み忘れは、免疫抑制剤の内服忘れの最大の原因となっています。

最近ではこのような不注意な服薬忘れを防止するために1日1回、朝の内服だけですむような薬剤(プログラフの1日、1回投薬でよいように開発されたグラセプター)も市販されるようになりました。これによって、朝はグラセプター、ステロイド、セルセプト、夕方はセルセプトという組み合わせや、医師の指示があればセルセプトは朝に1日分をまとめて飲むことも可能なため実質的には1日朝1回の内服だけで済ませることも患者さんによっては可能になりました。飲み忘れは極力避けるべきですから、このように内服法を調整することも場合によっては必要でしょう。

ただし、どの薬をどの位いつ飲むべきかは患者さんそれぞれの状態や特徴により大きく変わってきますので、薬の種類や飲み方については自分で判断せず、必ず専門医の指示に従ってください。

 メディプレスの情報はあくまでも執筆時点での情報をもとにした専門医の一般的な意見としての参考情報です。それぞれの患者さんの状態や体調によって対応は大きく変わってきますのでご注意ください。ご自身の状況については、主治医や専門医の指示に従ってください。