医療におけるデジタルトランスフォーメーションの利用促進のためのツールとして

インターネットと携帯電話(スマートフォン)の急速な普及により、医療におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入が進んでいます。医療の分野もデジタル技術によって、ビジネスや社会、生活の形・スタイルを変える方策が進みつつあります。
特に在宅医療の分野では、患者さんが頻回に医療施設を訪れないため、日々の患者さんの状態把握と、それに対する医療者からの指示などの情報のやり取りは、治療の質の向上に重要です。しかし、医療者側の過重負担を防ぐ必要があるため、これらの情報のやり取りには効率性が求められます。
このような状態把握が必要な患者さんと繋がり、継続的なフォローアップや迅速な情報伝達を効率的に行うことができる情報プラットフォームとして、スマートフォンアプリ「カカリンク®」が開発されました。

2024年9月12日~14日に長崎の出島メッセで行われた第60回日本移植学会総会において、腎移植患者さんとの情報共有ツールとしての「カカリンク®」に関する発表が、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院から行われました。腎移植後の患者さんは基本的に月に1回の受診のみで治療を進めていくため、医療機関と患者さんがいかに情報共有をスムーズに行うかが良い治療を継続する1つの鍵となります。同施設では2019年からこのアプリを運用して臨床に役立てています。
このアプリの主要な機能として1)個別の健康管理、2)内服管理、3)病院からの情報提供、がありましたが、2024年からはさらに4)ワクチン接種歴の管理、5)よくある問い合わせへの回答(Q&A)も追加されたとのことでした。
このシステムにより特にCOVID-19のパンデミックの時期には感染暴露のリスクを最小に抑えつつ、情報共有が効率的に行われ、患者さんは自分自身の健康管理を簡単に行うことができたとのことです。また受診のスケジューラーとしても機能するため、当施設ではこのシステムにより患者さんの自己管理能力の向上と医療者の負担軽減が同時に可能になり、医療者側の業務効率化も図ることができたという報告でした。