帯状疱疹に罹患した経験のある方も多いと思います。

この疾患はご存知のように小児期に水痘(いわゆる、みずぼうそう)にかかって完治した後、ウイルスが神経節といわれる神経の付け根に潜伏し体力が低下しているときなどに神経の支配領域に沿って出てくるものです。
多くの場合、はじめは「ぴりぴりとした痛み」だけがあり、そのうちに水泡が出現して気がつくことが殆どです。この疾患は腎移植後のウイルス感染症のなかでは比較的良く見られるものですが、免疫抑制剤が多い移植直後に見られることは案外少なく、移植後何年もたってみられることが少なくありません。

治療としては、抗ウイルス剤の投与になりますが、ここで注意しなければいけないことがあります。
抗ウイルス剤として使用される薬剤の殆どが腎臓から排泄されるため、腎機能が低下している場合、適宜薬剤の減量が必要となることです。帯状疱疹が出た場合、通常は皮膚科での診療となりますが、皮膚科では腎障害のある患者さんを診療する機会が少ないため、このような配慮がなされないことがしばしば見られます。
 通常は移植腎機能を確認しての投薬となりますので、もし皮膚科を受診した場合は、必ず移植していること、腎機能がどの程度であるかを医師に伝えるようにしてください。特に、クレアチニンの値、eGFRの数値は重要です。

■ 帯状疱疹治療薬について
代表的な内服薬としては、ゾビラックス、バルトレックス、ファムビル等があります。
これ以外にも、外用の抗ウィルス薬(ゾビラックス軟膏、ゾビラックス眼軟膏、アラセナA軟膏)などもあります。

図 『 帯状疱疹の治療に使われる薬剤 』にある薬は、腎機能に応じて薬の量の調整が必要になります。詳しくは専門医、主治医にご相談ください。

相互作用

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