腎移植後の患者さんは比較的長い透析歴があり血管の動脈硬化なども健常者に比べ多く見らることから高血圧症患者さんの中でも比較的リスクが高いと考えられています。

このような条件から、腎移植患者さんの高血圧症に対しては生活習慣の改善も勿論必要ですが、多くの場合、速やかな降圧のために薬物療法が必要となります。

使用される薬剤は、担当医が決めることになりますが、最も推奨される薬剤はARBというカテゴリーにはいる薬剤です。
この系統の薬剤は降圧効果は比較的マイルドですが、移植腎臓を守る効果を有しており腎移植後に使用するには非常に都合のよい薬といえます。
また、ARBには蛋白尿を強力に減少させる効果があり蛋白尿がある患者さんにはこのARBには非常に有効な薬剤となります。

ARBの効き目が悪いときは量を増やすことにより血圧が低下することも多く見られます。しかし、増量によっても充分な降圧が得られない場合さらに薬剤の追加が必要となります。

また、腎機能の保護を目的としてアンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)といわれるお薬が併用されることもあります。
併用する理由は併用により、より強力な移植腎機能保護、蛋白尿減少効果が期待できるからです。