移植した後に体調が安定してくると、海外旅行に行く楽しみも増えてきます。海外での新しい発見や出会いは移植をした幸せを実感するタイミングでもあります。ただ、いくつか注意したほうがいい点や、多くの方が抱く不安や疑問もありますので、シリーズで記事を掲載していきたいと思います。

海外旅行時の内服時間

海外旅行時の内服時間は、短期旅行(1週間以内)の場合、服用間隔が開き過ぎたり、短すぎたりしないように注意した上で、現地の時間にあわせるのがわかりやすいでしょう。
韓国や香港、シンガポール、オーストラリアの場合はほとんど時差がないので、それほど気にする必要はありません。ただ、ハワイやニューヨーク、パリなど、時差が大きい国、都市にお出かけの際はご注意ください。
海外主要都市への日本からのフライト例をベースに、日本で9時と21時(12時間間隔)に2回服用している方が、海外に旅行する際、内服時間を現地時間に合わせていく方法を記載しましたので、参考にしてください。

通常、朝9:00、夜21:00に服用している方の場合

①日本→ホノルル(ハワイ)の例
フライト時間が約8時間あるので、日本で飛行機に搭乗する前に夜の薬を服用した後、現地到着後に朝の薬を服用し、その後は現地の時間に合わせて服用していくというスケジュールでよいでしょう。

ホノルル

②日本→パリ(フランス)の例
フライト時間が12時間半あるので、通常通り、朝の薬を9時に服用してから飛行機に搭乗し、現地到着後に夜の薬を服用、その後は現地の時間に合わせて服用していくというスケジュールになります。この場合、朝の薬の服用から夜の薬の服用まで約16時間ありますが、許容範囲でしょう。

パリ

③日本→ロサンゼルス(米国)の例
フライト時間が10時間ですので、搭乗前に夜の薬を服用し、現地到着後に朝の薬を服用、その後は現地時間に合わせて服用していくというスケジュールになります。

ロサンゼルス

④日本→ニューヨーク(米国)の例
フライト時間約13時間ですので、通常通り9時に朝の薬を服用後搭乗し、現地到着後夜の薬を服用、その後は朝と夜の薬を逆転させて、服用していくというスケジュールになります。

ニューヨーク

図はいくつかの例としてあげさせて頂きましたが、行き先によって出発時間や乗り継ぎ等が異なってくると思います。免疫抑制剤の血中濃度を一定に保つことは移植者にとっては大変重要なことなので、あらかじめ時差を調べ、出発時間や搭乗時間から服用間隔を考え、実際の服用方法については、必ず主治医の先生に十分確認してください。