「腎移植前後の患者さんが抱く基本的な疑問」について、KDIGO(Kidney Disease:Improving Global Outcome(国際腎臓病予後改善機構)) が作成した国際腎臓病ガイドラインの視点から東京女子医科大学の田邉一成先生にご解説頂く"患者さんの疑問”解決 シリーズ。

第5回目の今回は『腎生検は必要なのでしょうか?』というご質問に対してご回答、ご解説頂きました。

【質問5】腎生検は必要なのでしょうか?

【回答・解説】
治療ガイドラインでは、移植腎機能不全があるときや拒絶反応が疑われるときは、腎生検が必要であるとされています。特に拒絶反応が疑われる場合は、時間の許す限り腎生検を施行して診断を確定することが勧められています。これにより、誤診を防ぎ不必要な治療を避けることもできます。
しかしながら、血液が固まりにくくなる治療を受けていたりする場合は、腎生検で出血することも考えられるため、腎生検を行わずに治療せざるを得ないこともあります。

一方、定期的腎生検については意見が分かれますが、私たちの施設では定期的腎生検をお勧めしております。現時点では、実際の移植腎で起こっていることを正確に掴む事ができるのは腎生検だけだからです。
免疫抑制剤の量、腎炎の再発、動脈硬化の進展具合、などなど移植腎生検で得られる情報は非常に大きいのです。現時点の免疫抑制療法は非常に良くなっているのは確かですが、もちろん完璧ではありません。血液検査や尿検査だけではどうしてもわからないことを移植腎生検を行うことによって知ることができるのです。

これら移植腎生検で得られた情報は逐次患者さんの実際の治療に反映されています。
私たちの施設では、毎週行われる移植腎生検の所見を病理医、泌尿器科移植医、移植内科医、検査技師、大学院生などで週1回、合同で検討し、治療方針を決めています。
同時に、これらの蓄積された情報から一定の治療方針が導き出せれば、論文に書き実際の治療に役立てることができるのです。

メディプレスの情報はあくまでも執筆時点での情報をもとにした専門医の一般的な意見です。それぞれの患者さんの状態や体調によって対応は大きく変わってきますのでご注意ください。ご自身の状況については、主治医や専門医の指示に従ってください。