トップページ  >  移植コラム  >  ドクターコラム  >  「腎臓リハビリテーション・エクセサイズと腎移植」<後編> 第34回腎移植・血管外科研究会報告【2】

森田 研先生 コラム

2018年5月に2日間の日程で鹿児島市で行われた第34回腎移植・血管外科研究会にて、腎移植に関わるテーマで興味深い講演がございましたのでレポート致します。発表内容は聴講した内容を記載しておりますので、発表者の趣旨と異なる可能性があります。毎度ながらご了承ください。

研究会2日目、「腎臓リハビリテーション・エクセサイズと腎移植」というテーマのシンポジウム4が開催されました。
司会は相川厚先生(東邦大学)と、大山力先生(弘前大学)で、4名の講演と特別発言が行われました。運動リハビリ・運動療法は現代を生きる私たちに共通の課題で、腎臓病・腎移植と運動の観点から最新情報が論議されましたのでレポートします。
「腎臓リハビリテーション・エクセサイズと腎移植」<前編>はこちらから。


腎移植血管外科2


第34回腎移植・血管外科研究会 シンポジウム4
「腎臓リハビリテーション・エクセサイズと腎移植」
座長:相川厚先生(東邦大学)、大石力先生(弘前大学)


「腎移植レシピエントに対する栄養療法」
服部文菜先生(三重大学 栄養診療部)

全世界的にガイドラインで推奨されているCKDにおける蛋白質摂取制限をあまり極端に追求しすぎると、サルコペニアやフレイルの悪化をもたらすことが近年言われています。蛋白質の制限は、全体のエネルギー摂取量と調整しながら指導を行わなければなりませんが、その指導に際して服部先生ら栄養士の果たす役割は大きいということです。
三重大学病院の腎移植レシピエントに対して調査を行い、体組成分析によって肥満や骨格筋レベル、体脂肪量を測定し、個々のレシピエントの条件に合わせた栄養指導をカンファレンスで提案しておられました。
特に、腎移植後に発症する内科的合併症の治療においては、管理栄養士が移植チームに加わることで最大の効果を発揮することができるそうです。
会場からは、蛋白制限や指導が困難な例として、高齢レシピエントの低栄養の問題をあげ、移植後、各栄養素の摂取バランスをどのように考えて栄養指導を行うか、という具体策について質問が寄せられていました。


「長期合併症対策としてのリハビリテーションの必要性」
佐々木ひと美先生(藤田保健衛生大学)

腎移植を受けた後に長期生着を達成している方々は、元々の腎不全に伴うサルコペニアや、長期のステロイド投与に伴う骨障害で、高齢になるに従ってフレイルや骨折の危険性にさらされ、一般の方々と同様に、高齢者の転倒・骨折による寝たきり、栄養障害、感染症による生命への危機が起こってきます。
藤田保健衛生大学病院で献腎移植を受けた後、長期生着している方々を対象として、サルコペニア肥満と呼ばれる生命維持に支障をきたす危険性の高い状態を検知するために、体組成計による脂肪率・四肢筋肉量の評価と腎臓リハビリ指導で追跡調査を行なった結果を示されました。
サルコペニア肥満で筋肉量が減少し、下肢運動機能が低下している男性が最も予後が悪く、下肢運動を中心としたリハビリと、筋肉の直接的なエネルギー源になりやすい分岐鎖アミノ酸の投与を併用した効果について紹介されていました。このような取り組みはサルコペニアやフレイルが始まる前から行うべきですが、いつから取り組めば良いかについては、一般高齢者と同様にまだ正解はありません。高齢化社会における問題と同様に、移植後の長期生着者も同様な対策が必要であることは確かなようです。
会場のレシピエント移植コーディネーターからは、腎移植希望登録者は移植前から運動・リハビリに取り組んでおくべきであり、また移植を契機に運動習慣を付けるよう指導していくべきであるとの意見が出されていました。


特別発言 下野浩様(NPO日本移植者協議会)

シンポジウムの最後に、2017年6月25日からスペインのマラガで行われた第21回世界移植者スポーツ大会の様子が紹介されました。またこういった移植者の運動を推進する大会として、2018年10月に駒沢オリンピック公園で42.195kmのリレーなどが行われるグリーンリボン・ランニングフェスティバルや、移植DE散歩、ありがとうの日、などの活動について報告がありました。


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