高血圧にはいくつかのタイプがあり、原因によって薬の使い方や対処方法も異なってきます。特に腎移植後の高血圧は様々な薬剤を使用していること、透析中から引き続く動脈硬化があることなどから慎重な対応が必要となります。

一般的には、高血圧には現時点で原因が不明の本態性高血圧と、あきらかな原因疾患(「腎臓の血管が狭窄している」、「副腎に腫瘍がある」など)のある二次性高血圧があります。

移植後の高血圧では、腎動脈が狭窄して起こる二次性高血圧などの二次性高血圧に特に注意しておく必要があります。腎動脈の狭窄がある場合の高血圧は通常の降圧剤に対する反応が悪く多くの場合難治性です。このような腎動脈の狭窄が原因となった高血圧に不用意に降圧剤を投与すると、急激な血圧低下を伴い移植腎機能が一気に悪化する場合があります。腎移植の高血圧に対し降圧剤を投与する場合は、ドップラーエコーによる腎動脈狭窄の有無の確認をしておく必要があります。狭窄がないことが確認された後に降圧剤の投与を行います。この場合、アンジオテンシン受容体拮抗剤といわれる薬剤が選択されることが多くなります。

薬剤の選択についての詳細についてはまたの機会にお話することとしますが、薬剤の選択は非常に重要な治療のポイントになります。また、血圧のコントロールは収縮期が120前後、拡張期が70前後が理想的でありこの血圧になるように充分なコントロールが必要です。

※個々人の症状や年齢などにより、注意する点は異なります。
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