ドナーの会の立ち上げ
棚橋さんは、2003年にドナーの会を立ち上げ、現在も代表としてドナーの会やドナーの広場を中心にご活動をされていますが、ドナーの会はどの様なきっかけで立ち上げられたのでしょうか?
棚橋さん:
私が手術を受ける前、病院側からは移植手術に関して非常に丁寧に説明を受けましたが、「実際に手術を受けて何年も経ったドナーの方からもお話をお聞きしたい」という思いが強かったものの、そのような機会がありませんでした。
病院側からは、私より前に手術を受けたドナーさんに話を聞くように言われたのですが、どの方がドナーなのかも分からないですし、私の手術の時は開腹手術でしたので、手術が終わって間もない、痛そうにして廊下を歩いている方に話を聞く事は難しかったのです。
また、これは私がいけなかったのですが、私にとっては生まれて初めての手術だった為、検査入院も含めすべて個室を取ってしまい、他の方とお話する機会が無かったのです。
その様な経験から、退院して落ち着いたら、移植手術を検討されている、移植手術を予定しているドナーさんの不安を払しょくする事が出来るように、一足先にその道を歩んだものとして、何かをしたいと思っていた事が、ドナーの会を立ち上げるきっかけとなりました。
ドナーの会はどの様にスタートされたのでしょうか?
棚橋さん:
当時、患者会は既にありましたので、レシピエント同士が顔を合わせる、横のつながりの場はあったのですが、ドナーはレシピエントと共にその様な場に参加するだけで、ドナーの思いをドナー同士で話せる、相談出来る場がありませんでした。
その為、主人の外来に一緒に行った際に、打田先生に「ドナーの集まる場を持ちたいのです」と提案をしたところ、「是非やってください。全面的に協力します。」と言ってくださり、ドナーの会がスタートしました。
当初は「ドナーの集い」としてスタートし、2回目から名前を変えて「ドナーの会」となりました。その後、年1回では少ないとの思いから、これの他に毎月1回実施したいとお話したところ、病院の会議室をお借り出来る事になりました。これが「ドナーの広場」です。最初は診察室をお借りして広場を開いていた事もあったのですよ(笑)。
現在はドナーの広場は原則として毎月第4木曜日に実施しています。
【日本移植未来プロジェクト 生体腎移植ドナーの広場】
打田先生:
ドナーの広場は、名古屋第二日赤病院の会議室で行っていますが、私も含め、医療スタッフは誰も関与しておりません。
あくまでもドナー主導の会であり、ドナーの方が持つ悩みをドナーの先輩、ドナー同士で相談する、話す事で解決していく場となっています。
私達もドナーの方が何か悩みを持っていれば、「ドナーの広場で相談してみてはいかがですか?」とお話しさせていただく事もあります。