一命を取り留めて
生体腎移植についてはいつ頃知ったのですか。
平山さん:
腎臓病と診断された際に本で調べて知りました。ただ、ドナーのこともありますし、私が腎移植をすることはないと思っていました。
その後、ハイブリッド療法に移行してから2年後くらいに、くも膜下出血で倒れ、手術、入院しました。この時は本当に大変で、入院して3週間くらい記憶がなかったのですが、その時に、妹が看護師だったこともあり、家族が生体腎移植について話し合ってくれて、妹、父、母から、腎移植をしようという話をされました。そして父がドナーになってくれることになりました。
それを聞いた時はどのように思われましたか。
平山さん:
私はずっと透析をしていくつもりだったので、最初は断りました。でも、家族と話していくうちに、お願いしようかなという気持ちになりました。
ドナーになってくれた父は当時、定年退職後で、家でゆっくり過ごしていた時期でした。
お父様とは何かお話しされましたか。
平山さん:
父は寡黙で、普段から二人で話すことはあまりないのですが、「透析をしないで生きていけるのであれば、その方がいいのではないか」というようなことを言われた気がします。
日髙先生:
ご両親は平山さんとは一緒に生活していらっしゃらなかったので、透析の大変さはご存知なかったのではないでしょうか。
平山さん:
そうですね。当時、両親に会っていたのは調子が良い時だけだったので、体調が悪いところは見せていませんでした。私が透析をしている様子は入院中に初めて見たのだと思います。
私の意識、記憶が戻った時点で、ありがたいことに、生体腎移植へのレールが敷かれていたような感じで、そのまま看護師さんなどから話を聞くなどして、どんどん話が進んでいきました。
湘南鎌倉総合病院での、生体腎移植の初診から手術までの期間は通常どのくらいですか。
日髙先生:
クロスマッチ検査で問題がなければ、各種検査やワクチン接種などを行い、通常は初診から3カ月くらいで移植手術となります。平山さんも同じくらいだったと思いますが、平山さんは血液型不適合移植で抗体価が高かったので、何度か血漿交換を行いました。
平山さん:
移植手術までは普段通りの生活をしていましたが、透析はその期間が一番つらかったです。週1回の血液透析の際は、透析を始めると嘔吐や下痢が起こることがあり、いつも看護師さんに待機していただいて、そのような状態になったらトイレに駆け込んで、という感じでした。