移植の効果を実感して
手術が終わった時の心境はいかがでしたか。
平山さん:
手術後は麻酔が早めに切れてしまったようで、また子どもが産まれるのではないか(笑)というくらい痛くて、すぐに薬を追加してもらいました。そのような状態でしたので、手術直後はまだ移植したという実感がありませんでした。腹膜透析のチューブの埋め込み手術の時もそうでしたので、麻酔が切れやすい体質なのかもしれません。
手術後、お父様とは会いましたか。
平山さん:
父はICUまで歩いて会いにきてくれました。「ありがとう、痛いのにごめんね」と言いました。「無事でよかったね」と言ってくれましたね。
日髙先生:
ドナーの方には、術後1日目くらいにICUまでレシピエントに会いに行ってもらっています。歩くことで術後の回復も早まりますし、レシピエントもドナーもお互いのことを一番気にしていると思うので。
移植して良かったという実感が出てきたのはいつ頃ですか。
平山さん:
手術後、一般病棟に戻って1週間~10日くらい経つと、だんだん体重が軽くなり、かなり体がすっきりしたと感じました。動きやすくなって、ああ、これが移植の効果かと思いました。
日髙先生:
移植後は、平山さんのようにむくみが無くなり、体がすっきりしたという方や、携帯の字がはっきり見えるようになった、食事がおいしくなったという方がいらっしゃいますね。
手術後どのくらいで退院しましたか。
平山さん:
手術後、2週間くらいで退院したと思います。全部で1カ月くらいの入院期間でした。
退院時はどのような気持ちでしたか。
平山さん:
やっと普通の生活が送れるようになるという気持ちが大きかったです。入院することが多かったので、これでしばらく病院に泊まらなくていいのだと思いました。
ご家族の反応はどうでしたか。
平山さん:
夫も娘たちも割とさっぱりしているので「退院してよかったね」という感じでした(笑)。くも膜下出血で入院していた時は、私の意識、記憶が戻った時に、夫や娘がうなだれて、酷い顔をして私を見ていたので、その時に比べると、腎移植手術は心配が少なかったのかもしれません。
退院後の困難を乗り越えて
移植後の経過は順調でしたか。
平山さん:
無事移植手術は終えたものの、移植後はサイトメガロウイルス感染を繰り返し、落ち着くまでに3年くらいかかりました。その時は、移植をしたのになんで元気になれないのだろう?と心が折れそうになりました。
日髙先生:
白血球が少ない状態が続いたり、貧血もあったりと、移植前よりは元気でしたが、今のような元気さは無かったですね。