献腎移植希望登録へ

献腎移植についてはどのようにお知りになりましたか。また、希望登録はどのタイミングでされたのですか?

田村さん
透析を開始して1年くらいは、肉体的、精神的なつらさから、誰とも口を聞きたくない気持ちで日々を過ごし、ぎりぎりのところで生活を維持しているような感じでした。
その後、1年くらい経ってようやく少し落ち着いてきた頃に、透析施設の看護師さんや先生から献腎移植希望登録ができるという話を聞きました。ただ、当時は、移植についての正確な知識があまりなかったので、移植の順番が回ってくる確率は非常に低く、高額の宝くじに当たるようなもので、「移植なんて夢」と勝手に思い込んでいましたが、「とりあえず登録をしておこう」という気持ちで登録しました。
今から思えば、登録は1日も早い方がいいのですがね。

登録後、腎移植に関しての勉強はされましたか?

田村さん
透析施設には腎移植の勉強会のチラシが貼ってありました。透析を始めて3、4年経った頃になると、透析時間の拘束はあるものの、仕事もきっちりしながら生活を維持していけるなと思い始め、気持ちにも落ち着きが出てきました。その頃になって、ようやく看護師さんや先生からの勉強会の話が耳に入るようになり、1度聞いてみようという気持ちになりました。
その頃の腎移植の勉強会で吉田先生にお会いしたのを覚えていますが、当時は献腎移植の仕組みがよく分かっていなかったので、何故北里大学病院の先生がお話をされるのだろう?と疑問に思うほどでした。色々とお話を聞くうちに、仕組みも含めて理解が出来るようになり、その後は定期的に透析施設からの勉強会の案内をもらえるようになりました。

先生、北里大学病院では周辺の透析施設とも良い関係を築いていらっしゃるのですね。

吉田先生
田村さんが透析を受けられていた透析施設には、私もたまに伺っていました。関連するすべての透析施設には腎移植の勉強会などの案内を行っています。施設によってどのような広報がされているのか分かりませんが、どの透析施設や透析導入病院においても、透析導入の前に、移植という選択肢もあるというお話をして頂けるようになればいいですね。

勉強会に参加することで、腎移植の知識は増えましたか?

田村さん

田村さん
勉強会に出ることで、献腎移植までの流れや適合の順番など、腎移植に関する知識を得ることができましたが、同時に待機者が多いことなども分かりましたので、そう簡単には順番は回ってこないだろうなと思っていました。
一方、登録病院での年1回の検査などは欠かさず行っていましたので、そのような検査を受けるうちに、自分の順番もいつかは来るのではないかと少しずつ感じ始めてもいました。

今から思うと、当時、移植に関してどの様な情報があれば良かったと思いますか?

田村さん
どの様な情報、というよりも、透析を開始した時に「移植」という選択肢があるという話をお聞きできればもっと良かったとは思います。ただ、透析を開始した頃は自分自身の心の余裕が全く無かったので、移植という選択肢のお話を聞いてもきちんと考えられていたかは分かりませんが。

その後、移植に向けて何か準備はしていましたか?

田村さん
登録後の最初の10年間は勉強会には出ていましたが、どの位待てば可能性があるのかも分かりませんでしたので、移植できるという実感はありませんでした。登録後12、3年経った頃、初めて移植の連絡を頂き、その連絡が頂けたことで、そこからようやく現実のこととして移植をとらえるようになってきました。