腎移植との出会い
腎移植に関しては、いつ、どの様にして知ったのでしょうか?
北山さん:
腎移植という治療があることは以前から知っていましたが、移植後の生活の注意点などは、
透析施設の臨床工学技士の方に色々とお話を聞きました。
透析治療の際に、移植をしても色々と気を付けなければいけないことがあるということを技士の方から聞いていたのを覚えています。
また、移植に関するパンフレットなどを読んだりして知識を得ていました。
ドナーとなられたお母様は、移植の知識はお持ちだったのですか?
北山さん:
母は恐らく本やインターネットなどで、移植に関してすごく勉強していたのだと思います。
もし移植をせずに透析治療を続けたらどうなるのか、という話などは母から聞いたことを覚えています。
移植手術をしようというお話は、お母様が積極的に進めていかれたのですか?
北山さん:
そうですね。母の方から、「移植をしよう」という話をしてくれたのですが、初めは、私自身は母から腎臓をもらってまで自分が健康になりたいとは思っていませんでした。
しかし、積極的に移植医療を勧める母と透析導入前から移植に関して話し合いを重ねるうちに、「成功するかどうかは分からないけれど、せっかく頂けるチャンスがあるのだから腎移植を受けてみよう」という考えに変わっていきました。
母とは「移植して上手くいったらラッキーだ」というような心構えでいようという話をしていました。
その為、透析導入になった時点で、すぐに主治医に移植をしたいという希望を伝えました。
吉田先生:
ちょうど北山さんが、透析導入の為の入院をしていた時に、お母様から移植の話をしてくれないかということで、
30分から1時間くらいお話をしたのを覚えています。北山さんのお母様は既にご自身の中で移植をすることを決めていらっしゃったと思います。
現在は移植に関して詳しい話を聞きたいという方には、外来でスライドなどをお見せしながら2時間くらいお話しをレシピエントコーディネーターと一緒にさせて頂いています。
母への心からの感謝
移植手術が決まってから、実際の手術までの期間はどのくらいでしたか?
北山さん:
移植の希望をした透析導入時から約半年で生体腎移植を受けました。半年の間に、HLA適合検査等、母が検査入院をしていたのを覚えています。
吉田先生:
北山さんからは透析導入時に移植の希望を伺っていたので、その時点から準備を開始しました。
北里大学病院では、ドナーの方にも、移植に向けての精査をまとめてする為に入院での検査をして頂いています。
移植手術を終えた時の心境はいかがでしたか?
北山さん:
手術終了後の事はすごく覚えています。麻酔から覚めてまず、「母が大丈夫だったか」という事を聞いたと思います。
その後、看護師さんから「無事にちゃんと尿が出ていますよ」と言って頂き、とても安心し、再び寝てしまったと思います。
吉田先生:
私も北山さんの手術終了後の事はよく覚えていますね。最初の第一声が、「お母さんは大丈夫ですか?」でしたね。
手術後の経過はどうでしたか?
北山さん:
移植された腎臓に関しては特に問題はなく順調でした。ただ、あまり多くないケースですが、尿管のトラブルがあり、
移植後半年間~8ヶ月くらいは入退院を繰り返していました。最終的には腎臓に問題が出ない程度に尿の流れが確保できたので、
無事に退院ができました。
移植後、お母様に対しては何か特別なイベント等を行っていますか?
北山さん:
特別なことはしていませんが、今は仕事で母と離れて暮らしているので、母の日と誕生日には必ずお花を贈っています。
母はカサブランカの花が大好きなので、カサブランカの花を贈っています。