夫婦そろって必ず二人で
手術後の経過はどうでしたか?
駒形さん:
私と妻はABO血液型が違いましたので、拒絶反応が起きないように、慎重に免疫抑制剤の量や体調を観察して頂き、12月の初めに退院しました。
その後再入院などは一度も有りません。
移植後、ドナーである奥様とは何か特別にイベント等を行っていますか?
駒形さん:
妻も私も昔から旅行が好きで、アメリカやヨーロッパ等の各国を回っていました。また、暇が有れば国内の旅行をしていました。
手術後の2年位は、抵抗力が弱っているのと感染症に罹りやすい為、比較的安心な国内の今迄行けなかった様々な所を旅行しました。移植3年経過後は、体もしっかりしてきましたので、海外旅行を再開し、スペイン、エジプト、カナダに行って来ました。
また、有名歌手のコンサートや食事をしに色々な所に行っています。仕事をしていたころは妻に散々苦労をかけましたので、今は旅行でもなんでも必ず二人で行きますね。
移植をしてから一番良かった事、嬉しかった事は何ですか?
駒形さん:
普通の生活が出来るようになり、妻と気軽に旅に出られるようになったこと。
また、家族で気楽に外食が出来るようになったこと、そして自分の趣味(水彩画と男声合唱団)ももてるようになって生活に潤いが出来たことです。
男声合唱団は手術後に入団しで各地で施設の慰問やコンサート活動をしています。また、水彩画も術後に習い始め、現在仲間と絵の同好会に入り活動しています。
今年6月の相模原市の美術展(出品数152点)に出品した絵が入選した事が今後の励みになっています。今日は入選した絵を持ってきたのですよ。
素晴らしい水彩画ですね!透析中は趣味などの活動を行うことも難しかったですか?
駒形さん:
そうですね。仕事をしていたこともあり、それどころじゃなかったですね。
自分の体を徹底的に知ること
移植後の日常生活では、移植腎の為に特にどの様な事に気を付けて生活をしていますか?
駒形さん:
自己管理の重要性を吉田先生からみっちり教え込まれまして、病院に入院していた時と同じ項目を毎日家庭で管理しながら過ごしています。
体重測定や血圧測定などどなたでもやっている事の他に、恐らく他の方はあまりやられていないかもしれませんが、尿の塩分濃度を毎朝6時に早朝尿で測定し、その結果を元に妻に食事の管理をして貰っています。前日の食事で塩分の値が高ければその日の食事はなるべく塩分を制限して薄味にします。家内も殆んど同じものを食べていますので、塩分測定は2人にとって重要な日課です。
移植後の自己管理で尿の塩分測定を毎日されているというのはあまり聞かないですが、どの様に測定していらっしゃるのですか?
駒形さん:
市販の携帯測定器を2009年2月に購入し、それ以降毎日測定しています。
ビーカーに尿を入れ、そこにセンサーを入れると塩分量が出ます。
毎日の塩分量と体調を日誌で観察してみますと自分の体調の傾向がよく分かりますね。
日々の塩分管理は、体調が安定している事に繋がっていると思っています。
塩分管理の他、日常の服薬や、血圧、体重等の記録はどの様な方法で行っていますか?
駒形さん:
薬の服用は、1週間分の薬を朝、昼、夕、寝る前に分けてケースに入れ、飲み忘れのない様にしています。
ケースに残っていれば飲み忘れですので直ぐにわかります。
また、外出する際はその日の朝食の服用時に必ず忘れず個別のビニールの小袋に入れ、3日分の薬を持って行きます。
災害が起こった際にも3日も有れば、自宅や病院にたどり着く事が出来ると思うので、最低限それだけは持っているべきだと思います。
血圧や体重などの記録は、毎朝6時を起点に記録しています。 体重、体温、飲水量、尿量、血圧、尿の塩分測定を日誌にして記録しています。 体調の記録に関しては腎不全の治療をしていた1997年から16年間自分の体調管理のデータをグラフにして病状の傾向を把握するようにしています。 他の方々から見れば患者の自己満足でしかないと思われるかもしれませんが、かなり自分でも傾向を観察できますので、自分の体調を予測することが出来ます。