大切な腎臓のために
手術後の日常生活ではどの様なことに気を付けて生活をしていますか?
相場さん:
退院時の生活指導をしっかりと守る事を心がけています。退院後8ヶ月間は常にマスクを着用し、半年間は、通院以外は外出もしませんでした。また現在も生もの(刺身や野菜)は一切口にせず、加熱したものだけを食べています。運動はウォーキングやストレッチなどを行い、体力作りに励んでいます。
八木澤先生:
相場さんのように透析中の管理もきちんとされていた方は、移植後もしっかりと自己管理をされていますね。
食事に関しては、移植手術後1年経ちますので、刺身や生野菜なども食べて大丈夫ですよ(笑)。
服薬や血圧、体重の管理はどの様に行っていらっしゃいますか?
相場さん:
服薬は1日分を朝、昼、夜に分けて1週間分のケースに入れ、忘れないようにしています。血圧、体重、体温等の記録は、毎朝、食事前に測って1ヶ月を1ページとしてノートに記録しています。尿量、飲水量も時間と量を記録し1日の集計をしています。
移植後、新たに始めた事や、今後の夢はありますか?
相場さん:
透析の合併症の腰痛の完治には少し時間がかかりそうですので、現在は家の周囲を歩き、軽いストレッチを行う程度で、新たに物事を始める気持ちはまだ持てない状況ですが、今後は透析中からいつも側で見守ってくれた妻と、国内旅行や海外旅行に行きたいと思っています。そして出来れば、大好きなスポーツやハイキング、山登りなどもやってみたいです。
メッセージ
先生、現在移植を希望されている透析中の方へメッセージを頂けますか?
八木澤先生:
献腎移植は待機期間が非常に長いですが、もう自分には連絡は来ないだろうと思い、更新を断ち切ってしまえば、移植のチャンスは巡ってきません。移植を受けたいという意欲があって、体力的にも大丈夫だという自覚をお持ちであれば、是非登録は継続して頂きたいと思います。
相場さんのように、様々な合併症の治療や手術を受けた既往があっても、それを乗り越え、機会に恵まれ移植を受けておられる方もいらっしゃいます。透析や日々の体調管理をしっかりと継続して頂きたいと思います。
最後に相場さんから現在移植手術を待っている方へメッセージを頂けますか?
相場さん:
移植をしたい気持ちはあるけれど、移植後の拒絶反応など、様々な不安を感じて登録を躊躇している方がいらっしゃるのであれば、まずは登録をして、登録期間中に様々な情報を集め、意志を固めていけばよいのではないかと思います。透析が長くなると合併症による精神的負担も伴い、私は本当に辛い状況になりました。現在の身体の状態だけでなく、将来のことも考え、登録をしておかれることをお勧めしたいです。
また献腎移植は待機期間がとても長いですが、年齢や体力的に難しい、合併症があるので無理だ、などと勝手に判断せずに、とにかく更新を続けて頂きたいと思います。諦めたらその先は無いのですから、体調を維持し、いつでも移植に臨めるように待っていてください。
~最後に、ドナーの方やそのご家族への感謝を伝えさせてください。~
深い悲しみと辛い決断をするには、想像を超える悩み、葛藤があったと思います。
ドナーになって頂いた事に感謝すると同時に後悔をされないよう、そして誇りに思って頂けるよう精一杯生きて行きます。毎晩お腹をさすりながら、こうお話しさせて頂いています。「今日もありがとう、明日も一緒に行きましょう、よろしくお願いします」と。